第三章 魔族侵攻

第43話 魔界地図

 ドゲムは眷属のガーゴイルを呼び寄せて命じた。

「私は魔界を地域ごとに分けてみた。ファザリスが魔族を束ね大陸東に移動し、そこを魔族の住処にしたが、どのような魔族がどこに住んでいるのか実は未だによくわかっていない。お前が指揮してガーゴイルをそれぞれの地域ごとに割り当て、地図に詳細を書き込め。それぞれの地域の魔族達に私が新魔王になり人間界を侵攻する計画だという事を周知しろ。準備が出来たら魔王城の前に集結させろ。人間の村や町は一番先に制圧した魔族が支配できるという事を言うのを忘れるなよ。これがモチベーションとなるのだ」

「モチですか?」

「それが終わったら今度は人間界の地図作りだ。ここも一定の地域ごとにガーゴイルを割り当て、人間の居住地の正確な位置、規模や兵力等調べてくるのだ。まずは大陸中央まででいい。我が眷属のガーゴイルよ。頼んだぞ」


 正直、ドゲムのガーゴイルは面倒くさいと思ったがドゲムのいう事は絶対だ。会議室に集められるだけのガーゴイルを集めて、大雑把に描かれた魔界地図の地域に数字を振り、くじ引きでそこの担当を決めるということにした。ドゲムの眷属ガーゴイルは一番魔界の奥の辺境地域に決まった。

「ついてねえし、面倒くせえな」とぼやきながら自分の担当地域に向かうのだった。

 半日かけて辿り着いた辺境地域を上から見ると、建物がいくつもありトロールが住んでいるようだった。地上に着地するとトロールの集団が寝転んでだらだらと過ごしていた。村の至る所がお花畑になっていて、一体こいつらは魔界をどうしたいんだとガーゴイルは思った。

「おいトロール共よく聞くのだ。魔界の王はドゲム様になった。そしてドゲム様は人間界を侵攻する事を決断された。お前らトロールも戦いに加わることになる、準備が出来次第ここを出て魔王城前に集結せよ。人間の村や町は一番先に制圧した魔族が支配できるという事だ。わかったか」


 反応が薄い。というか全く話を聞いていない。

 横で鼻をほじっていた子供のトロールが鼻くそをガーゴイルの翼にこすりつけていた。

 カッとなって思わず子供トロールを殴ってしまうガーゴイル。

 それを見ていた大人トロール達は巨大なこん棒をつかみ立ち上がる。

 これは危険だと思ったガーゴイルは空に飛び上がる。

「脳無しお花畑共め。俺はちゃんと説明したからな」

 魔王城に向かって飛び去る。


 そして、また半日かけて魔王城に戻り謁見室に入ったガーゴイルは玉座に座っているドゲムの機嫌が悪そうなのがすぐわかり気が滅入った。

「どうだったのだ46番は?」

「は?」

「お前の担当した地域の番号だ」

「46番はトロール共が住んでいました。魔王城前に集結するように伝えておいたので、奴等は直ぐに魔王城に到着するでしょう」

「直ぐだと?鈍足トロールがどうやって直ぐに魔王城に到着できると言うのだ?」

 しまった。俺の悪い癖で適当な事を言ってしまったか。

 ドゲムは椅子のひじ掛けに頬杖をつき

「魔王城前に各地域の魔族を集結させる必要は無くなった。帝国軍が魔王城に進軍してくることは無い」

「それは何故ですか?」

「私が肉人形にした皇女ミリアが元の人間の姿に戻ったからだ。最初は私もデマかと思ったが、どうやら本当らしい」

「そんな馬鹿な。ドゲム様の呪いが何故?」

「それは私にもわからん。最初に奴等に攻撃させ、まとめて帝国兵を叩き潰すという予定は狂ってしまった。たが今後人間界を侵攻する事は変わらん。惰弱な帝国兵など侵攻先で叩き潰せばいいだけの事だ」

 ドゲムは地図を指さして「魔界の地図を完成させた後は、人間界の地図作りを頼むぞ我が眷属のガーゴイルよ」


 会議室に行ったガーゴイルは他のガーゴイルの報告を受け地図に魔族の居住地、魔族の種類等を書き込んで行く。文字が書けるのはドゲムの眷属ガーゴイルしかいなかったので一匹だけ長時間労働させられていた。


「あの野郎。俺ばかり働かせやがって」

 そして魔族の地図がもう少しで完成するところでドゲムから呼び出しが掛かった。

「この人間界の10番の地域を見てくれ我が眷属のガーゴイルよ」

「はい」

 地図を覗き込む。

「もう3匹も違うガーゴイルがここに向かったのだが帰ってこないのだ。お前が行って見てきてくれ」

「は?私は魔界の地図作りがありますので、他の者が行くのが宜しいかと思いますが?」

「私の優秀な眷属のお前に行ってきて欲しいのだ」

「分かりました。この地域に行ったガーゴイル達に何かあったのかもしれません」

 ああ面倒くせえな俺ばっかり。

「よろしい。頼りにしてるぞ我が眷属のガーゴイルよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る