第55話心が生まれた
「そんなの……! 魔力が目的だったとしても、私は構わなかった!」
「でもね、これだけは信じてほしい。アタシたち誰もアメリアのこと、エサだなんて思っていない……。皆、不器用で優しいアメリアのことが好きだから傷つけたくなかった……そばにいたかっただけなの。黙っていて、ごめんね」
嫌われたくなかった、傷つけたくなかった。だから言えなかった。
そう呟くピクシーの言葉に、アメリアはボロボロと涙を流しながら首を振る。
「わた、私、みんなが一緒にいてくれて本当は嬉しかった。一人きりになりたいってずっと思っていたけど、本当は誰かと関わって、また傷つくのが怖かったの。遠ざけようと酷い態度をとってたのに、皆ずっと私のことを考えてくれていた。だから魔力のことをきいても、騙していたなんて思わないよ!」
「……そうね、もっと早く白状すればよかった」
ピクシーは自嘲するように小さく笑う。そして震える手でアメリアの頬を優しく撫でた。
「好きよアメリア。あなたと一緒にいて、たくさんの感情を知ったの。ただの魔物だった私に『心』が生まれた。嫌われたらどうしようって、失うのが怖いなんて感情、昔は知らなかった。愛しいって気持ちも……」
もういいからとアメリアが言っても、ピクシーは喋るのを止めようとしない。まるで最後に全て伝えようとするかのように言葉を絞りだす。
「私、ヒトらしくなったでしょう? あなたと一緒にいても、おかしくないくらい……」
ずっとアメリアと一緒にいられるように、ヒトみたいになりたかった、と言うピクシーに、これまでの彼の行動の意味が理解できて、さらに涙が止まらなくなる。
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