第37話計画を練る
「未来を告げるケット・シーは権力者や魔女たちがこぞって欲しがる魔物なんだよ。その僕を連れて魔女の巣窟に行くのはむしろ危険だと思う。アメリアを殺して僕を奪おうとする奴だっているかもしれない」
確かに、ケット・シーは伝承や歴史書にも時々載っているような有名な魔物である。魔女がそれを使い魔にできたのなら、力を使って一気に成り上がることもできるだろう。
「そうだな。じゃあ俺が行こう。何かあれば火炎で全員焼き尽くして脱出すればいい」
元の姿になるだけで簡単に屋敷くらいぶっ壊せるとサラマンダーは胸を張るが、最初からぶっ壊す前提で来るような使い魔では危なくて連れていけない。全員一致でサラマンダーは却下となった。
「じゃあアタシかヘルハウンドだけど……」
ピクシーが言いかけた時、ヘルハウンドが『自分に行かせてほしい』と手(前足)を上げた。
「あの死臭が何処から来るのか、なにが原因なのか俺が行けば少しは分かることがあるかもしれないです。俺は影に入ることもできますし、危険な時はアメリアさんを背負ってにげることもできます」
なるほど、と全員が納得する。死臭をかぎ分けられるのがヘルハウンドだけなのだから、屋敷内につきそうのは彼が適任であろう。
「じゃあ、ヘルハウンドはただの犬に擬態してついて行ってね。アタシたちも魔女集落の結界外で待機して待ちましょう。当日までにまだ時間があるし、皆で手分けしてできるだけ情報収集してみましょう」
チューベローズ家の噂とか最近の様子など聞き込みしようとピクシーが言ったところでひとまず話し合いは終わった。
***
ケット・シーやピクシーは市井に詳しく、他の魔物にも多少交流があるため、聞き込みはこの二人がメインでおこなったが、目立った成果はあげられなかった。
そもそも魔女は独自のコミュニティで生活しており、只人は魔女の村に立ち入ることが難しい。秘密主義の魔女の噂を知っている者はほとんどいなかった。
だが、魔女たちの同行を警戒している魔物たちからは、アメリアの兄姉たちの家督争いが激化していることや、家長のメディオラが最近はほとんど姿を見せないことなどの話を聞くことができた。
兄姉間の諍いやメディオラの体調不良も本当の話のようだと分かっただけでも収穫だっただろう。母の見舞いに来いと言う兄の言葉も嘘ではないようだ。
「メディオラ様が具合悪いってのは本当だとしても、それで私に会いたがるっていうのはどうも納得できないんだよね。私、屋敷にいた頃メディオラ様とは数えるほどしか話したことないくらいだし……これまで全く興味がなかった私に会いたい理由が見つからない」
訪問日が迫る中、聞き込んだ情報をアメリアに報告したが、やっぱり見舞いに呼ばれるのが不自然に感じると言った。母と呼びかける機会は終ぞなく、屋敷にいた頃は、メディオラを『様』と敬称をつけるように言われていたというから、そのエピソードだけでも母子の絆などなかったのだろうと推察できる。
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