ベンチの上の石
大学時代の友人から聞いたお話。
彼は青森の出身なのだが、母校の小学校に伝わる七不思議の一つが「ベンチの上の石」だそうだ。
小学校の七不思議だが、厳密には学校の正面にある公園の話で、そこのベンチの一つにはかならず石が一つ置いてあるらしい。小学校高学年くらいの児童が数人がかりでようやく引きずり下ろせるくらいの重さと大きさで、岩と呼べるほど大きいのに「石」な理由はわからないが、とにかくそう呼ばれていたそうだ。
ベンチの上にあるので邪魔なことこのうえないのだが、大人は誰もどかそうとしない。当然、怪我の危険もあるので親や先生方は悪戯しないように注意するのだが、そこは小学生。石を引きずり下ろす子が出てくる。
そして、落とした石は翌日には必ずベンチの上に戻っているのだ。
ただそれだけ。何もしなければ何も起こらないし、落としても元に戻るだけ。
友人は六年生の時に夏休みの自由研究として『毎日「ベンチの上の石」を落としてみた』という発表をして担任に拳骨を食らったそうだ。
その友人も今では35歳のオッサン、少々太りぎみなこと以外は健康そのものだ。毎日石を落としていた彼がこうして元気なのだから、祟りとかそういうものもおそらく無いのだろう。
彼の母校は今では廃校になっており、その公園も遊具が古くなっているため閉鎖されてしまっているそうだ。
それでも、錆びてボロボロになったベンチの上には、今でも石が乗っかっているらしい。
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