閑話休題 10本

いつの間にか文書ファイルに保存されていた、知らない人の遺書。



畑にガムを撒いたのは、アレがモグラの仕業だと思ったからなんだ!



6月半ばの霧の日の朝に、コンタクトレンズの内側に現れる人影。



一年に一度だけ、母校の小学校で怪物に襲われる夢を見る。



婆さんの田舎の数え歌に混じる、七と八の間の知らない数字。



卒業アルバムの右上の、丸く囲まれた枠の中の、知らないクラスメイト。



白鳥を蹴飛ばした次の日、烏に襲われた。



眠りに落ちる寸前に耳元で囁かれた「5月20日の出来事です」



彼女が口を開くと聞こえてくる、文字通りの「ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ」



アパートの部屋の紹介文にしれっとまぎれた「人形物件です」の文字。

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