4,白浜沙希と歩く茅ヶ崎の杜
「はい、ということで『私たちの
「ということで私はいま、茅ヶ崎市北部、藤沢市との境界にある
茅ヶ崎は東海道線より北の山側も見どころがある。その中でいちばんメジャーなのがたぶんこの彼岸花祭り。
さて、私はここから茅ケ崎駅のほうまで行きますよ~。
さらさら揺れる黄金の稲穂、その茂みをジャンプするイナゴ、見上げれば大樹生い茂る
茅ヶ崎もみるみる自然が減ってるけど、こののどかで美しい里山の風景は、いつまでも残っていてほしいな。
ふくらはぎの高さをブンブン豪快な音を立ててノロノロ移動するスズメバチに注意しながら鬱蒼とした赤土の遊歩道を歩く。そこを抜けて大きな池をぐるっと半周。右に蜻蛉飛び交う空き地、左に栗の木、その向こうに林。
空き地に入って蜻蛉を見上げる。よく見るとアキアカネとオレンジ色のウスバキトンボがいる。
おや、なんか大きなトンボがこちらへ向かってきた。
そして、私の胸元に留まった。
「うほっ!? ほっ、ほおおお!? きっ、聞いてないよお!!」
黄緑と水色、お胸が銀色の大きなトンボ、ギンヤンマ。それだけならいい。こいつは無害だ。問題は、こいつが抱えている獲物だ。
バリバリバリバリ……。
ギンヤンマがかっぷかっぷと大きな顎を動かして素面で獲物を噛み砕いている。獲物は必死の抵抗、そりゃそうだ。その獲物の尻には、針が付いている。
スズメバチだ。
抵抗して尻を振ると私の胸に針が向く。ギンヤンマより強そうな顎も動いている。命の叫び。
またしても何も知らないフルーツの香りがする夢のような女子、白浜沙希。こんなことがあるなんて聞いてなかった。トンボが頭や肩に留まってきた経験は何度かある。だがこんな獲物はなかった。
結局畦道を出て、隣にある里山公園の出入口までギンヤンマは私の胸元に居座って食事をした。スズメバチの首が落ちた。
気疲れした私は公園のビジターセンターに設置された自販機で買った缶コーヒーを飲み、気を取り直して出発。
私がレストランになったおかげでギンヤンマはスズメバチを駆除し、更なる駆除への旅へ出た。心ない人に留まったら
きょうは地元のラジオ曲が開局ということもあり、北口もやけに賑わっている。
街が暮れ
そう、‘こっち’には辛うじて当選。
さて、それじゃちょいと、いやたっぷり、楽しんできますかな。
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