設定資料 キャラクター編

王国での名前の成り立ち

◆王国での名前とその成り立ち


 平民:ファラティアナ・ローグベルト

 貴族:ローファス・レイ・ライトレス

 貴族(公爵家):レイモンド・ロワ・ノーデンス・ガレオン

 王族:アステリア・ロワ・シンテリオ


 王国での名前の種類は、基本的には上記の四種存在する。


《平民》

 ファラティアナ個人名/ローグベルト土地名

 上記にある通り、前半が個人名で、後半の苗字に当たる部分は住んでいる土地名に当たる。平民における苗字は、主に生まれた村や町、土地の名前を名乗る場合が多い。ファラティアナの場合は、生まれ育った漁村であるローグベルトを名乗っており、これは比較的一般的な例である。

 つまり平民のフルネームは、“〇〇村の〇〇さん”と言う意味合いとなる。平民の苗字に関しては、王国法で明確な規定が定められている訳では無く、これはどちらかと言えば風習に近いものである。それ故に平民は、思い入れの深い生まれ故郷を名乗る事があれば、移り住んだ新天地を名乗る事もありと、比較的自由に名乗っている。

 ただし、何を名乗っても良いと言う訳では無く、正式な場で偽りの故郷を名乗った場合は、王国法において身分詐称罪に触れる為、罪に問われる事となる。

 余談だが、リルカ・スカイフィールドの後半の名——《土地名》に当たる“スカイフィールド”と言う地名は存在せず、これはリルカが飛空挺——天空で生まれた為に勝手に名乗っている名前である。もしも正式な場で名乗り、その故郷を調べられた場合、それなりに面倒事になる可能性がある。逆に言えば、普通に名乗る分には故郷を調べられる事は殆ど無い為、正式な場以外では偽名を名乗る者も少なく無い。

 又、都会ならば兎も角、辺境や田舎では正式な場でも管理手続等が杜撰な事もあり、故郷を調べるまではしない場合も多く、仮に偽名を名乗っても意外と気付かれずにまかり通ってしまう事も多い。


《貴族》

 ローファス個人名/レイ血筋名/ライトレス貴族名

 貴族の名は少々特殊で、上記の三種類に分けられている。王国における苗字は土地名と密接に関わっており、貴族の苗字に当たる貴族名は、王家より賜った貴族としての名であり、同時にその貴族が統治する土地の名前でもある。平民と違うのは、統治する土地の名前が貴族の名前になるのでは無く、その貴族が統治する土地が〇〇領と呼ばれる様になる点にある。平民の苗字が土地由来なのに対し、土地が貴族の苗字由来となる事が大きな違いである。

 そして、《個人名》と《貴族名》中間に当たる《血筋名》——《レイ》の部分は、その名の通り血筋に関わる名前となっている。魔法国家である王国の貴族社会は、当然魔力の強大さに重きを置いている。そして魔力は、血筋の影響を強く受ける。それ故に貴族は、血筋由来の名を持つ事が許されている。

 要約するとローファスのフルネームである“ローファス・レイ・ライトレス”の内訳は、《王家より“ライトレス”領の統治を賜る、“レイ”の血筋の“ローファス”》と言う意味合いになる。これは一般的な貴族の場合であり、その中でも例外が存在する。それは公爵家である。


《貴族(公爵家)》

 レイモンド個人名/ロワ王家の血筋名/ノーデンス血筋名/ガレオン貴族名

 公爵家の名前は、以上の四種から成り立っている。他貴族との主な違いは、血筋に当たる部分が二種に分けられているという事である。公爵家は王家の親戚筋に当たり、王家の血筋名を名乗る事が許された唯一の上級貴族。因みに、王弟である学園長アインベル・ロワ・アズダールは、純粋な王家の血筋から貴族家として独立した為、その成り立ちから王家の血筋名である“ロワ”の名のみ名乗っている。王族が他家の婿や嫁として嫁ぐ事は多いが、一貴族家として独立するのは王国千年の歴史の中で初の事であり、学園長アインベルはかなり特殊な例と言える。


《王族》

 アステリア個人名/ロワ王家の血筋名/シンテリオ国名

 王家の名前の成り立ちは、基本的には貴族と同様。違いとしては《貴族名》に当たる部分が王国の名称であると言う事。作中では《王国》と呼称されているが、正式名称は《王国シンテリオ》である。ヴァイス世界において王国は《王国シンテリオ》のみであり、自国他国共に国名を省略して《王国》と呼ぶ事が多い。


《騎士》

 ヴァルム個人名/リオ血筋名/ドラコニス土地名

 騎士は、扱いとしては準貴族に当たる。土地を支配する立場に無く、しかし立場として平民より上という立ち位置である。王家より《貴族名》を与えられている訳ではない為、平民と同様に出身地や住居の《土地名》を名乗る。ただし、騎士は基本的に魔力持ちである為、魔力に関わる《血筋名》を名乗る事が義務付けられている。余談だが、《騎士》は平民や貴族といった身分ではなく役職である。しかし、扱いとしては準貴族である。《貴族》の身で騎士の役職に就くものも多い。事実として、暗黒騎士筆頭アルバも絶縁状態とはいえ正確には侯爵家に当たる。因みに、ヴァルムの様な代々騎士の家系も多くあり、そういった家は特定の貴族家に仕えている場合が多い。


◆名前の変化


《婚姻》

 平民同士を除き、婚姻により嫁ぐ側の名前は一部が変わる。基本的には嫁ぐ先の貴族家の《貴族名》に変化する。変化するのは《土地名》或いは《貴族名》のみであり、《個人名》と《血筋名》は変化しない。貴族同士の婚姻後子供が出来た場合、その子供は属する貴族家の《血筋名》と《貴族名》を受け継ぐ事となる。

 仮に《アンネゲルト・ルウ・トリアンダフィリア》がライトレス家に嫁いだ場合、その名前は《貴族名》のみ変わり《アンネゲルト・ルウ・ライトレス》になる。故に《血筋名》から、その出自や血縁がある程度把握出来る。


《没落》

 貴族が何らかの問題を起こすなりして王家より爵位を剥奪される、或いは己の意思で貴族家から抜けた場合(公的な手続きが必須)は、苗字は《貴族名》から《土地名》に変化する。ただし貴族は没落後も一代限りは準貴族という扱いであり、《血筋名》を名乗る必要がある。その子の世代からは魔力持ちであろうと身分は平民であり、《血筋名》を名乗る事も許されない。


《叙爵》

 平民が功績を認められ、王家より爵位を賜り貴族となった場合、《血筋名》と《貴族名》が与えられる。《貴族名》は仮に領地を持たずとも名乗る必要がある(寧ろ下級貴族は土地を持たない家が多い)。《血筋名》は血から魔力の性質を調べられ、過去に登録歴があればその《血筋名》を、無ければ王家より新たに名付けられる。これにより、過去に没落して途絶えたと思われていた《血筋名》が復活する場合も少なくない。王国の平民の中に混じる魔力持ちは、過去に没落した貴族の末裔であったり、何処ぞの貴族の隠し子である場合が殆どであり、外国からの移民を除き、新たな魔力の血筋が見つかる事は稀。

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