第3話
「えっと......落ち着いてくれたみたいで良かった。首、痛くない?」
牢屋送りを回避してほっと一息着いていたら、勇者にそう話しかけられた。
「首?...あっそうか、俺誰かに気絶させられたんだ」
「手刀で気絶させられた事を忘れちゃうぐらいには治癒魔法が効いたみたいだね」
と、勇者はクスッと笑う。
何故かその笑顔を見た時、胸がズキンと痛む感覚があった。
「あ、お前が治癒魔法をかけてくれたのか。色々迷惑かけてすまない。えーと、名前を聞いてもいいか?」
「手刀をしちゃったのも僕だけど。僕の名前は ロク だよ。”これからよろしくね”。」
「...?あ、あぁ、よろしく頼む」
俺は何故か勇者...ロクの言葉にデジャヴと違和感を感じながらそう返答して、歩み寄ってきたロクと握手を交わす。
そうしていると、ダグローグがタイミングを待っていたかのように話し出す。
「っつーことで、先程少し話したその野郎の処罰なんだが...待て、お前名前はなんだ?」
ギロリとこちらを覗きながら話すダグローグと処罰にビクビク怯えていると、途端にダグローグの声のトーンが変わりキョトンとする。
「あ、俺ですか?イブキっていう名前で一応S級冒険者をやらせて頂いておりまして...」
「お前、あの”ローヂの轟風”イブキ だったのか!成程、確かにコイツ以上に最適な野郎はいねぇな。寧ろ頼みたいぐらいだったが丁度いい」
「あの、さっきから何の話してるのかよく分からないんだが結局処罰って何なんだ?」
「それは...
勇者の魔王討伐の旅の同伴だ」
────────────
ダ「お前、本当にイブキなのか?」
イ「え、なんで疑うんすか」
ロ「確かに、吟遊詩人が表現するイブキはもっと威風堂々とした感じだよね」
イ「吟遊詩人の話は半分フィクションの物として楽しんだ方がいいっすよ、」
ダ「確かに大男の前でS級冒険者がチビりかける話を吟遊詩人がしても面白くな...フッいや、面白いな」
イ「アンタじゃなくて牢屋行きに怯えてたんだよバーカ!」
ダ「あぁ!?牢屋にぶち込んでやろうかクソガキ!!」
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