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「ゾティーク幻妖怪異譚」について

クラーク・アシュトン・スミスが書いた短編のうち、ゾティークという未来の大陸を描いたものが集められた短編集です。東京創元社から発売されました。




地球最後にして唯一の大陸であるゾティーク。腐ったリンゴのような太陽が照らす大陸には魔術や神々といった怪しげなものがはびこっており、退廃たいはい的な美や文化が広がっています。




そんな終末を舞台として、おどろおどろしくも美しい物語が紡がれていくのです。神々であったり、バケモノであったり、魔術であったり……。このストーリーラインに関しては、ホラーのありふれたものだと思います。




でも、出てくるバケモノや、ゾティークという世界の描写だったり、魔術だったりが、幻想的かつ独創的なのです。その点において、他の追従ついじゅうを許していません。










クトゥルフ神話的に関係しているのは「死体安置所の神」です。ここには食屍鬼グールの神であるモルディギアンが出てきます。クトゥルフ神話TRPGに旧支配者となっています。




クトゥルフ神話に関わるのはこの作品だけなんですけど、そのほかの作品も面白いのでぜひ。暗くジメジメした話だけではなくコミカルな話だったり、恋愛めいた幽霊話もあったりして、幅が広くて楽しめます。




ただ、手に入りにくいのが難点です。絶版状態ですので、図書館にあったら読んでみてください。




ちなみに、アトリエサードが出しているスミスの短編集にはこの「死体安置所の神」は収録されていませんのでご注意ください。この作者の短編集は他に2冊あるのですが、ほかにも収録されていないものがあって、残念だったり。でも出してくれただけでありがたいような複雑な気分。

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ようこそ、クトゥルフの世界へ! 藤原くう @erevestakiba

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