第5話 生徒会に入りました。

俺の名は春灯 刻。17歳男子高校生。ある日突然トラックに轢かれ、乙女ゲームの王子、ラズベルト・ガゼルへと姿を変えてしまった!!!!!

そして今、目の前には生徒会の大扉があった。


     * * * * *


「ねぇ、みんな生徒会に入らない?」


そう言われて来てみたものの何故こんな急に、??ゲームの展開的にラズベルトとローゼとアメリアが生徒会に入ることは決まっている。が、本来なら入学から1月後の学力検査で実績を認められたら入れるということになっている。生徒会に入るにはイベントクイズで80ポイント以上取る事が絶対条件。俺も苦労したなぁ...


「はいっ!到着〜〜!!ここがこの学園の生徒会室だよ!ウィディ〜、例の3人連れてきちゃった!」


キースに案内されてついた生徒会室では生徒会長の「ウィディス・カール」、副会長「アリス・ミシェル」、書記「ニコル・エイサリィ」がいた。


「おい、キース、生徒会室に入る時はノックをしろといつも言っているだろう」


そう言って腕を組むのは攻略対象のニコル。彼は辺境伯家の出でありながら成績と実力を認められ生徒会書記に任命された秀才である。少々堅いところがあるが根はとても優しい。


「まぁまぁ、可愛い子達が来てくれて嬉しいじゃないの〜、ニコルくんってばお堅いのよ、もぅ...」


ニコルをなだめる彼女は弟の「クロード・ミシェル」のルートで登場する悪役令嬢。伯爵家の出で普段は穏やかだがブラコンなために攻略の間にめちゃくちゃ邪魔される。本当、迷惑な話だ。


「ふふっ、みんな楽しそうだね。はじめまして、僕はウィディス・カール。この学園の生徒会長だよ。よろしく」


癖っ毛の茶髪に赤みがかった茶色い眼。ぱっとしない印象だ。だがどこか優しげな雰囲気があった。


「キースに言われて来たんだよね、まずはいらっしゃい。そして単刀直入に言うとみんなに生徒会に加入してほしくて」


「ちょ、ちょっと待ってください!!確か生徒会って、学力検査の順位で上位の方から決めるんですよね?どうして入学したばかりの私達に加入を進めるんですか?」


ナイス、アメリア!私もそこが気になっていたのだ!!


「それは君たちの入試成績が物凄く良かったからだよ。筆記ではなく、魔法の試験のね。」


なぜ、それが理由になるんだ??魔法試験でいい成績を残したものくらい、過去に何人もいるはずだ。なぜ私達を?


「それで、今回の魔法試験は迷路を魔力で操り攻略するものだったと思うんだけど魔力操作の実力はもちろん、その時の君たちが面白かったから、勝手に僕が推薦しちゃった!」


いや「推薦しちゃった!」じゃないんだよ。めちゃくちゃ私利私欲じゃないか。有り難いけど!有り難いんだけど!!ま、まぁ何はともあれ生徒会に入れるなら有り難い。


「その場合、他の生徒から批判を買ったりはしませんの?」


不安そうにローゼが扇をしまう。


「その点は大丈夫!僕の推薦だけじゃなかなか通らなくって今すぐ生徒会に、とはならなそうなんだ。だから例年通り学力検査の結果を見て、10位以内に入っていたら優先的に入れていいって先生が言ってくれたんだ!」


なるほどー...結局は学力検査なのね。俺大丈夫かな。ゲームのときは3択のクイズ式だったが流石に実際はそうも行かないだろ...


「「なるほど、そういうことでしたら私(わたくし)誠心誠意励みます(わ)!!」」


見事にハモったな、私も生徒会に入らないと王子としての周囲の目が怖いし入らないとストーリーの本編も終えそうにないし...


「わかりました、頑張らせていただきます、」


「それじゃあみんな、今度の試験頑張ってね!!」


そして私達は生徒会室を後にした。

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