第4話魔物に出会いました。

「「ぐるぉぉぉぉお゙お゙お゙お゙お゙っっっっっ」」


突然茂みから吠え声がした。あぁ、そうかこれは魔物を退治することで主人公の好感度を上げるためのイベントだったな。本来さほど強くない魔物だが魔法を始めたばかりの生徒では倒すのは困難なんだよな。だがここにはネルマ先生以外の教員 ――怪我や年齢で引退した元騎士団員―― もいるから心配せずとも大丈夫だろう。そう思っていたのだが、


「大変だ、思ったより数が多い!!生徒の中で動ける者は加戦をその他の者は逃げて、保安部だ!保安部を呼んでこい!!!」


教員が叫ぶと、ほとんどの生徒が怯えて逃げ出していく中、


弾撃魔法ベルシック!」


詠唱する高い声がした。私が隣に目をやるとそこに立っていたのはローゼリアだった。


「私達のような高いところにいる貴族が他の者を守れずして領地を、国を守れましょうか!!!手の空いてる者は加戦なさい!回復魔法も学びましたでしょう!!?使える者は手当を!!」


彼女の魔法を打つ手は、震えていた。今にも逃げ出したいと思う中、士気を上げようと叫ぶ。やはりローゼリア・シュターリエは美しい人だ。そしてローゼリアの指示を聞き私やアメリアを含む数人が魔法を打ち込んでいく。初めての実戦で手間取っていた。自分自身の周りを守ることで精一杯だ。


「きゃぁぁぁぁぁああっっっ!!!」


女子生徒が襲われている。駄目だ、間に合わな―――


「うぉぉぉぉぉぉおおおらぁぁぁぁあっ!!」


突然彼女の目の前の魔物が消えた。そう、が来たのだ。


     * * * * *


「やっぱり強いと言ったら保安部のキース・クラインだよねぇ、保安部部長で剣の天才!剣聖って崇められてるだけあるよ〜」


隣りにいる妹が声をかける。


「分かる。それを本人は嫌がってるんだが、そんなところも俺はいいと思うんだがどうだい妹よ。」


「兄者もそう思うか、やはり初心な奴はいいんだよね。」

そう言って笑っていた

    * * * * *


妹よ、キース・クラインは強いというより、やばいが正解だ。身軽にばっさばっさと敵を切り倒していく。私達が手を貸す間もなく魔物は消えていった。


「遅くなってごめん。助けに来たよ。」


そう言って振り向く彼は血塗れで笑っていた。


     * * * * *


「ふぅ、ありがと。先生の話によると近くのダンジョン、野外授業で使うダンジョンから来たみたいだよ。異常発生スタンピードにはならないって言っていたけど念のため調査をするらしい。しばらくあの辺りにはいかないほうがいいかな。」


先程も言ったが彼の名はキース・クライン。子爵家の次男で長男のエドワー・クラインは若くして近衛騎士団で軍団長を努めている。キースも剣聖と呼ばれ崇められている。アホ毛の生えた銀色の髪、澄んだ碧い瞳にチャームポイントの白い襟巻き。そして約148センチほどのThe低身長。一目見て彼が剣士だと思う者は少ないだろう。


「僕は2年で保安部部長のキース・クライン、よろしくね。」


人懐っこい笑みを浮かべる彼を前に私の隣に座るアメリアは困惑しているようだった。そりゃあそうだ。ギャップありすぎるもん。だが


「よろしくお願いしますわ、クライン先輩。お兄様のエドワー様にも負けず劣らずの腕前ですわね。」


キースは幼いうちから近衛騎士団で剣を学んでいたため私とは顔見知りだ。


「キース、先程は助かったよ。代表として礼を言う、ありがとう。」


「あ、アメリア...バロットです、!よろしくお願いします!!」


キースは照れたように頭をかくとそういえば、と口を開く。


「ねぇ、みんな生徒会に入らない??」


「「「はい?」」」



      ✳ ✳ ✳ ✳ ✳

次回休載となります。4月18日より再開いたします。









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