007 新スキルの確認と2日目の成果
休憩時間を終えて本日2回目の探索のためダンジョンに潜る。【危機察知】も【短剣術】もいつものスタイルで探索をすると全く使わないので確認のために一度【投石】での【奇襲】を使わずに最初の時と同じ右手には短剣、左手にはライオットシールドの構えで【
勿論それは防御をしないということではなく態々タイミングを合わせて衝撃を返すような受け方をしないというだけだ。防御をしないなどという自殺行為を僕がするはずがない。ただ防御と同時に短剣でのカウンターを狙う形にはなる。
相手が盾に衝突する瞬間を狙って短剣を首に刺して仕留めるつもりだ。【短剣術】はスキルなのでこの一連の動作に補正が掛かるはず。早速、草を食んでいる呑気な小兎に攻撃を仕掛けてアクティブ状態にする。すると突進を仕掛けて来るのでタイミング良くグサっと。
うん。思ったよりもすんなりできてしまった。確かにスキルのおかげも無くはないと思うのだが今までしようとしなかっただけで、やろうと思えば出来ていたと思う。大きく補正が掛かった感じもしないが【奇襲】や【投石】のスキルを見ているとかなり威力に影響していることがわかる。
その例に漏れず【短剣術】も短剣での攻撃の威力を上げる効果がある。しかし正直な話、元の短剣のスペックが高い上に小兎の防御力が低いため、あまり参考にならなかった。正直、心配しすぎと言われればその通りで【
最下級モンスターの中でも小兎は格別に弱く死亡時に放出する魔素量もそこまで大きくないことから小兎ではレベルが上がりにくい。さっき算出したレベルアップに必要な最下級モンスターの数も最下級モンスターの中でも特に低い最下級モンスターを狩り続けた場合に必要な討伐数だった。
兎であれば小兎5匹分の魔素を死亡時に放出すると言われており兎が安定して安全に狩ることが出来るようになれば格段と効率が上がる。兎は最下級モンスターであるといっても年間で数人は死者が出ており侮ってかかると初心者が命を落とすのは間違いがない。
とは言え最下級モンスターの中には兎よりも多くの死者を出している魔物も存在するし万全の準備を施せば初心者が十分に狩ることのできるモンスターであることもまた事実である。
小兎が一撃で倒せるのならば兎も耐久力で見ればそこまで大きな差がなく短剣はきっと兎の肉体に容易に刺さるだろう。とは言えこれは飽くまでも予想だ。確度が非常に高いとはいえ実際はどうなるかがわからない。万全の対策を敷くことは無駄なことじゃないし褒められることはあれど叱られるようなことではない。
話が脱線してしまった。明日の兎戦に緊張して頭の中に常に兎が過ってしまう。ここはダンジョン余計な思考は危険に繋がる場所だ。意識を切り替えていこう。
さて【短剣術】については現時点では試しようがないことが分かったので良しとする。次に【危機察知】だがこれは狙って使えるような代物ではない。効果としては自分の身に何かしらの危機が迫っている時に危険な要素を何となく感じることができるというもの。
レベル1ではとても近い未来に起こりうる危険を察知することができる。例えばモンスターとの戦闘中に背後からモンスターが近寄っている時、何らかの直感のようなものが働き後方に危険が迫っていることに気付くことができるようになる。
このスキルの注意点は飽くまで気付くことが出来るだけであるということだ。自動で危険を回避するようなものではなく実際に危険を回避する行動は自分で起こさなければならない。強いスキルなのだが初心者の内は危険であることがわかっても、その危険を回避するための行動が取れないことが良くある。
だから実はこのスキルは中級者以上向けのスキルとされている。因みに、このスキルがレベル10まで到達すると【危機感知】というスキルになり【危機察知】よりも感知の性能が高くなる。よりハッキリと具体的にどんな危険があるかが分かるようになるらしい。僕にとってスキルのレベルアップはだいぶ先の話になると思うが楽しみではある。
また話が大きく脱線してしまった。まあ要するに【危機察知】のスキルを試用するのは今現在では難しいということだ。とはいえ【危機察知】が全く使われないというのは寧ろ良いことで僕に危険が迫っていないという事になりイレギュラーの少ない良い探索者ということになる。基本的に何かしらの異常事態に遭遇する以外で僕が危機に陥ることはないようにしているので【危機察知】が使われたとすれば、その時は僕も想定できないようなとんでもない異常事態が発生したも同義である。
まあ、そんな訳で結局、新しいスキルはどちらも満足な試運転ができないまま2日目の探索を終えることになる。最初の右手に短剣、左手に盾のスタイルは最初以外使わず以降は最も効率のいい【奇襲】【投石】のコンビで【索敵】の範囲に入った小兎を狩り続けることになった。
2日目2回目の探索は最終的に73匹の小兎を討伐し3回目の探索では78匹の小兎を狩ることができた。ここ2日の収益だけで数十万の稼ぎになっており改めて命をかけて戦うだけのことはあると思った。とは言え僕は命を賭けても失うつもりはない。凡人だからこそ無茶をすればすぐに死ぬ。ダンジョンは堅実に進めていくのだ。
全ては夢を叶える為に。
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