スターダスト転生 ―おっさん隕石に当たって異世界送り―

もちねっこ

― 星の記憶 ―



むかしむかし、はるか昔。

空を裂く風も、海を焼く炎も、まだ神の手のうちにあった頃――


人は、神より授かりし知恵をもって鉄を鍛え、空を渡り、

大地に塔を築いた。

やがてその力は、神すら届かぬ高みに至り、

ついには天をも支配せんとしたとき――


神は怒り、空より罰を下した。


それは、幾千の星が地に降る終末の雨。

空は灼け、大地は裂け、海は呑み込まれ、

星降りは世界に新たな混沌の力と闇を孕ませた。


人の築いた文明は音もなく崩れ、

光は失われ、すべては灰となって消えた。


けれど、大地はすべてを忘れはしなかった。


時は流れ――

神の怒りが遠ざかり、傷ついた世界に再び芽吹きの季節が訪れたとき、

人は五つの種に分かれ、生きることとなった。


人の意志を受け継ぎし者、ヒューマ。

獣の血脈に新たなる魂を得た者、ビースト。

失われし叡智の残響を追う者、エルフ。

大地の鼓動を知り、鉄を鍛える者、ドワーフ。

そして――闇と混沌に魅入られし者、デモニア。


彼らは争いながらも、時に手を取り、時に剣を交え、

神の星が堕ちたこの地に、再び世界を築いていった。


だが――天より降る星の記憶は、なおも大地を巡り、

滅びの種は今も静かに燻っている。


そして今、またひとつの星が、

空を裂き、大地を撃ち――

一人の男の運命を変えようとしていた。


名もなき、どこにでもいる、ただの男。

それは、誰もが見過ごしたひとつの欠片。

やがてこの星の記憶を呼び覚ます者となることを――

まだ、誰も知らなかった。

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