領主の娘クレア。彼女には秘密があり、夜は普通の娘の姿なのだが、昼はまったく違う怪物の姿に変貌してしまう。そんな彼女と結婚する強大な魔力を持つ宮廷魔術師ルーク。彼もまた仮面で素顔を隠している。風変わりな二人は結婚し、愛を育んでいくが、次第にその夫婦関係は世界を揺るがしていく⋯⋯。
拝読しながら、その美しく読みやすい筆致で綴られる物語の世界に、すっかりうっとりと魅了されてしまいました。
ストーリーテリングも実に見事で、ページをめくる手が止まらず「次はどうなるのだろう」という高揚感がたまりませんでした。緻密に構成された世界観も大変素晴らしく、その描写の美しさには思わず惚れ惚れいたします。
何より、ルークのクレアに対する溺愛ぶりが最高でした。単なる一方的な想いではなく、クレアが少しずつルークへの愛を深めていく過程も丁寧に描かれており、二人の心の交流に終始わくわくが止まりませんでした。
非常に印象深く、心に残る大好きな物語です。ルークとクレアの幸せが、これからも末永く続いていくことを願ってやみません。
今宵の結婚式、新郎は誰も顔を見たことがないという仮面の魔術師。新婦は誰にも見られてはいけない醜い魔物。誰も幸せになれないはずの婚礼が二人にもたらしたものは―――真実の愛!
などという甘すぎる言葉は本来私は使わないのですが、この二人なら良いでしょう(笑
仮面の魔術師ルークは確かに変わり者です。美しい女性を抱くことはあってもつまらないとすぐに飽き、魔術以外のことに興味を示さず、ゴミだらけの寝台で初夜を迎えようとするダメっぷり。でもクレアへの興味はすぐに溺愛に変わり、愛する妻を何よりも大切にする真の男。
クレアが魔物の姿をしているのは昼間だけ、夜は可憐な乙女に身を変えます。昼間の姿ゆえに外に出ることはなく、自身の醜さゆえに人を恐れる日々。でもそんな自分の全てを受け入れてくれたルークに尽くし、時には戦う健気なヒロイン。
そんな二人の生活は甘々です。昼間のクレアも歩くのに邪魔な尻尾を腰に巻き付けたり、鱗で服が破れるのを気にしたりいちいち可愛らしくて、ルークもそんな魔物バージョンの彼女を抱こうとして拒否されます(笑
しかしやはり普通ではない二人には、次々と魔の手が伸びてきます。獣の刺客、火トカゲの魔女、謎の魔術師……甘々な恋愛ドラマを望む方にも、魔術師同士の手に汗握る展開を望む方にもお勧めできる秀作、ぜひご一読ください。
大きな秘密を抱える貴族令嬢と、国王の懐刀と讃えられる大魔術師の結婚風景を描いた異世界恋愛作品です。
秘密のせいで自分にも婚儀にも自信を持てずにいた令嬢は、ある日、国王の命令でとある魔術師との結婚を迫られます。
夫に当たる彼の評判は最悪。仮面で素顔は決して見せず、これまでの離婚歴はなんと五回。
自身の秘密もあり、どう考えても形式上の結婚で終わってしまうと考えていた令嬢は、大きな期待もせずに誓いの言葉のみの婚儀を行います。
けれど魔術師の屋敷に向かう途中、彼はおもむろに誰にも見せたことの無いはずの仮面を脱ぎ去って…
起承転結がしっかりしており、読み応えがある作品です。
ぜひ読んでみてください。