第23話

23話


夜、風呂場にて。


「決して狭くないはずなんじゃが、レインとはいると妙に圧迫感があるのぉ……なぜじゃ……?」


「寧ちゃんより背が高いからなのです?」


「うーむ、それも、じゃが……まあよいか、少し寄れい。ワシも浸かる」


「おいでなのです!」


配信を終え、お泊まりモードになったふたり。飯を沢山食べてうっすら眠くなったので、寝落ちしてしまう前にお風呂に入っておこうとなった。

大魔王様もハイエルフさんも、元の世界では風呂の文化に馴染みはなく、衛生状態は魔法でどうにかしていた。

こっちに飛ばされてからは、豪に入れば郷に従えの精神から、同居人と一緒に入ることが多くなった。それが、互いの同居人の、少しズレた感性からくるものとは、まったく気付けぬまま。

というわけで、大魔王様とハイエルフさんは、一緒の湯船に浸かっているというわけである。


「やっぱり風呂はいいのう。何故元の世界ではコレを知らなかったのか……」


「元の世界でも、おんせん、というものはあったのですよ。ハイエルフでも長老クラスしか入れない秘境で、モンスターと一緒に浸かるような、なのですけども」


「そういうのは得てして魔素が濃いからのお。ワシも1度は試しておくべきじゃった。惜しい事をしたのう」


「こっちの世界の温泉も、きっととっても良いところなのです!今度一緒にいくのです!」


「うむうむ、よし、では寧もつれて小旅行としようかの!楽しみじゃのぉ」


「おんせんおんせん!温泉宿のお料理は、濃い味はあるですかね〜」


「大抵は和食じゃろ。旅人向けのを探しておいてやるのじゃ」


「和食もすきなのですけれども……中華がいいのです!スタミナチャーハン、美味しいのです!」


「温泉上がりにスタミナチャーハン……考えただけでちょいと胸焼けするのう……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る