第22話

22話


「んむ、えふぴーえす、楽しかったのじゃ」


「またあそぼーなのです!」


:近距離最強の大魔王様と中遠距離最強のハイエルフさん

:ふたりとも人間じゃないのを再確認した

:異世界、こわい


「というわけでの、ワシは晩飯をつくってくるよって、できあがるまではレインのゲームを見てるがよい。またのちにな!」


:てら

:晩飯たのしみ

:俺も飯作りながらみるか


というわけで晩飯の調理である。

昼に肉を食べたので夜は肉以外……にしたいところだが、魚で調味料ドバドバはなかなか難しい気がするので、結局肉を使うこととする。


「鳥か豚か……あいや、5種盛りにするかの」


肉5種盛りのスタミナスパイス丼、をつくることにした。

まずは鶏モモ、豚バラ、豚トロ、牛バラ、マルチョウに下味をつけて適当に焼く。

辛めの焼肉のタレに、コチュジャン、ニンニク、生姜、おろし玉ねぎを混ぜて、焼いた肉を漬け込む。

丼にコメをよそい、マジックソルトを振りかける。

漬け込んだ肉を丼に移し、スライスニンニク、青ネギ、ゴマ、黒胡椒、少しの鷹の爪をふりかけ、最後に中央に卵黄を乗せて、肉5種盛りのスタミナスパイス丼(レイン来客時用スペシャルアレンジ)の完成である。


「レイン、飯ができたのじゃ」


「んー!暴力的なタレと肉とニンニクのかおり、美味しいのが確定してるのです!はやく、早く食べるのです!」


配信はちょうど一区切りが終わったところらしいので、さっそく2人でいただくことにする。

ちなみに、レインの皿は大魔王様の4倍の量が入っている。


「いただきます」


「いただきますなのです!」


ドンブリの作法に従い、飯をかっこむ。

瞬間、肉の脂、タレ、ニンニク、コメの風味、鷹の爪のピリ辛、ゴマのかおりなどの味覚嗅覚の爆弾が大爆発。

美味いと感じる信号を強制的に発生させているかのような、多幸感。

ためいき、そして理解する。濃いものは、美味い。


「んむ、これは……暴力じゃな」


「んー!圧倒的強者の容赦ない多段攻撃!味のゲリラ豪雨なのです!」


「濃いのにハマってしまいそうじゃ……よくない、よくないのじゃ……」


:見てるだけでヨダレが

:晩飯これ真似しよ

:5種は無いけど2種でつくるわ

:美味いのわかりきってるんだよなぁ


「とっても美味しいのです!手がとまらないのですよ!」


「ワシは少なめにしておいてよかったのじゃ。わりと……キツイのじゃ」


:おばあちゃん

:レインさん健啖家ね みてて気持ちいい

:大食いもいけんちゃうか

:大魔王様にはもっとさっぱりしたもの食べて欲しい


「このレシピ、もらって帰ってもよいですか?」


「んむ、よいよい。好きにアレンジするとええ」


「ありがとなのです!今日はなにからなにまでありがとうなのです!」


「たまにはこういうのもええじゃろ?えふぴーえすにも出会えたでな、良い日じゃった」

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