第6話

6話


「あちぃ〜のぉ〜〜!」


夏、野外、カンカン日照り、湿気。にほんの夏は、魔界よりも過ごしづらい。


「こんな日は……そうじゃ、冷しゃぶサラダにちらし寿司でどうじゃ」


「いんじゃない?ご飯当番はあなただし」


「どうせ暇じゃろ!ちぃと手伝わんか!」


「えぇ〜……当番の意味は?」


彼女は「寧」

大学生。大魔王様を居候させている心優しい少女だ。容姿は自称いわゆる量産型、普通の普通だ。

週の半分くらいは友人の家に泊まってるのだが、今日は珍しく丸一日空いたので、久しぶりに大魔王様とお買い物だ。正直めちゃくちゃわくわくしているのは内緒である。大魔王とて心は読めないのだ。


「あとは、あれじゃな」


「ん、お酒! 何にしようかなぁ」


「ワシはチューハイ2本でいいぞ」


大魔王様、状態異常耐性がめちゃくちゃ高いのでお酒には強いのだが、オンオフが出来るのでわりと簡単に酩酊できるのだ。つまり、素では酒に弱いともいえる。


「ポテチもよいか?」


「いいよ〜。私はチョコにしようかな?」


「ああ、新作のいちごチョコがあるはずじゃ!ワシにもひとつくれんか」


「ポテチ1枚と交換ね?さ、さっさと済ませて帰りましょ」


「晩飯食うたらお菓子配信かのぉ」


「私の顔は映さないようにね」


「認識阻害かけておるから問題ないんじゃがな……」


寧、ネットリテラシーはわりと高い子なのだ。

魔法をあんまり信じていない、とも言える。


「夜は一緒に寝てくれる?」


「……ワシを抱き枕かなんかじゃとおもっておるのか?」


大魔王様、嫌だとは、言わないのである。

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