第23話 尋問
ゼナはその日の出来事を誰にも伝えることができなかった。
リナも伝えることにはちゅうちょしていたけれどもとりあえずヤムには意見を聞きたいと思った。
「そうか、人の言葉を話すドゥームがついに現れたか。」
「私の事を魔の女王と言ったのよ。私は化け物と一緒だと言うの?」
ヤムにあたるのは筋違いだとは分かっていますいたが誰かに何か言わずにはいられなかったのである。
「まあ、あんまり気にしないことだよ。そのドゥームはあまり知恵もないみたいだしな。
それよりドゥームがおまえさんに何かを感じたことの方が気になるな。
魔法使いの何かをおまえさんの中に見たのかもしれないな。」
ヤムはリナが持ってきた果物に手を出した。
「ねえ、あの言葉を使う化け物をこれからどうしたらいいのかしら。」
一つ目の果物を食べ切って二つ目に手を伸ばそうとしたのをリナは制した。
「放っておけ。だが、言葉を話すドゥームはさらなる強敵の出現を予期せざるを得ない。
気を付ける事だな。
それと、言葉を話す物が居るということはその中心に居るやつが輪をかけた化け物の気がする。
そいつに遭遇する前に力をつけることだな。」
結局ヤムと話しても何の糸口も見つからなかった。
その日彼女は棲家の寝床で何をすべきかを考えた。
ヤムは放っておけと言うしゼムの様子だと彼も何もしそうにない。
「そうね。私がやるしかないわね。」
彼女は捕らえているドゥームから敵の規模の情報が得られないか聞き出す事を考えていた。
ゼムの当番の時をねらってリナはドゥームに接触を図った。
「なあ、ギイナに話した方が良くないか?」
リナがドゥームの檻に近づくのを横目に語りかけた。
「話たところできっと何も変わらないわ。
むしろ、私が何かしたいと話しても止められるのがおち。」
リナの反論にゼナは黙るしかなかった。
そしてゼムが少し目を離した隙にいきなりリナは檻の鍵を持ち出し扉を開いて檻の中に入って行った。
それに気づいたゼムは
「リナ、何をやってる。」
だが、彼女は答えずドゥームに語りかけ始めた。
「私が誰か分かりますね?」
ドゥームは声にならない唸り声で答えた。
「あなたは誰の命令で私達を襲ってくるのです?」
このドゥームがどれほどの知能を持っているのか定かではないため、質問を理解できるのかはなんとも言えない。
だが、ドゥームは答えた。
「我が主はコープス。我はコープスに従う者。」
思っているよりは会話になりそうだ。
「コープスが全てを指示してるの?」
「指示?」
それは理解できないようだ。
命令という言葉はわかるようなのでいい変えてみた。
「コープスはおまえにどんな命令をしたの?」
その問いには少し間をおいたが返事を返した。
「我ら以外を殺せだ。」
「なぜ?」
それにはウーウーウーと唸り声を出すだけで答えは得られなかった。
リザードンと人の姫 @tamager
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