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夏休み。夏期講習は自由参加なので参加せずゴロゴロして過ごした。
(夢…か)
私は夢を考えることへの抵抗をなくす方法を考えた。
考えた結果、夢=セレブというイメージを覆すことしか思いつかなかった。
しばらくしてふと思った。夢って寝てる間にめっちゃ見てないか?と。
覚えていないことがほとんどだが寝ている時誰もが夢を見ているという事を
卒業研究として調べている人がいた事を思い出した。
(もし、あの子が言っていたことが本当なら、私も夢を見てるんじゃ…)
この考えが浮かんでから私は夢に対する偏見がなくなった。
夏休み中でも部活は健在。
裏社部とパソコン部、どちらの動画が選ばれたかを知る日だ。
鳥「じゃあ、発表するな。今回校長たちに選ばれたのは…裏社部の動画だ!」
猫「やった!やったね、こんちゃん!」
「はい!」
鳥「評価としては、伝えてほしいポイントがしっかりまとめてあって学校のPRにふさわしく、様々な人が見ることを考慮した動画になっていたのがよかった。とのことです。」
犬「夢、達成だな。おめでとう。」
狸「おめでとう、こんちゃん。」
「ありがとうございます。」
素直に嬉しかった。
パソコン部みたいに専門でやっているわけじゃないから
自信は全くと言っていいほどなかったし、
今の今まで夢のことを忘れていた。
猫「こんちゃん、夢見るのも悪くないでしょ?」
「はい。楽しかったです。私、夢について難しく考えすぎてたんですね。」
犬「これで文化祭の時に絡まれる心配はないな。」
狸「よし。最後の問題。こんちゃんの生きていく上での夢はなに?」
猫「確かに。必要なのはそっちだもんね。」
「生きていく上での夢ですか…。」
狸「そう。次に集まるのが2日後だから、それまでに考えといてね。」
「わかりました。考えておきます。」
考えておきます。
なんて言ったものの、なにもない。
生きていく上での夢なんてスケールが大きすぎる。
急に知らない町に置いて行かれたくらいの困惑があった。
ただ、ゆっくり考えている時間はない。
最低限、大まかなものだけでも決めておかないと。
私は考えた。将来何になりたいのかからどんな風に人生を終えたいのか。
そうすると一つの言葉が浮かんできた。
「どんなことがあったとしても、それでも生きていてよかったって言いたい…」
これを夢にしていいのだろうか。
でも夢は無限大だ。なにを夢見てもいい。
私は死ぬときにこの地球に生まれてよかったと、
病気や災害が多いけどそれでもこの美しい地球に生まれてよかったと言いたい。
これを夢と言おう。私の夢だ。
狸「さあ。期限だよ。こんちゃんの夢は何ですか。」
「どんなことがあっても最後にはそれでも生きていてよかったと言える生活がしたい。夢というより目標に近くなっちゃったけど、この自然豊かで食料もあって、美しい地球に生まれてよかったって、どんなことがあっても言える人になりたい。」
犬「こんらしいね。」
猫「こんちゃんっぽくていいと思うよ。」
狸「こんちゃんが納得してるならそれが夢でいいんだよ。」
「夢を教えてくれて、ありがとうございました!」
犬「お礼言われるほどのことじゃないよ。」
猫「これからも忘れないようにね。」
狸「楽しく生きろよ。」
「はい!」
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