貴方は幽霊を信じますか?
貴方は幽霊の存在を信じますか?
柳の木の下に現れるアレです。
あぁ…流石にこの表現は古すぎましたよね。
すみません。
それで、貴方は信じますか?幽霊。
おぉ 信じますか…!なるほどなるほど。
貴方は私と話が合うかもしれないですね。
私はもちろん信じてますよ。
だって幽霊という存在があったほうが安心しませんか?
怖くないのかって?
いやいや、幽霊の存在は怖さよりも未来への希望ですよ。
誰にでも「死」って訪れますよね?
貴方は死んだ後、どうなると思います?
天国か地獄に行く…ですか。
やっぱり貴方とは話が合いそうです。
天国や地獄の存在も死後への安心材料ですよ。
天国や地獄の存在は幽霊と同じく実際に存在しているかわからないですよね?
でも生前に良いことをしていれば天国で報われ、悪いことをしていれば地獄で罰を受ける。
そう考えることで死後、自身の居場所を作り上げてるんですよ。
こんなふうに考えたことはありませんか?
亡くなった家族や友人、大好きだった有名人に合いたいと。
幽霊になって現れてくれないかな、天国で再会できないかなと。
えぇ そうでしょうそうでしょう。
そう思うことは何も変ではありませんよ。
もう一度会いたいと思う気持ちは愛情や後悔、想いが深かった証ですからね。
それに幽霊になってくれていたら少しだけ安心しませんか?
幽霊の世界で暮らしているんじゃないかって。
どうです?幽霊の存在は心理的な癒しや慰めにもつながると思いませんか?
すみません。話しすぎました。
水分を失礼…
あぁ もう切れているのを忘れていました。
いえいえお構い無く。
それは貴方のお水ですので、貴方がお飲みください。
………私は死ぬのが怖いんですよ。
正確には死後が怖いんです。
死んだらどうなるのか私たちにはわかりません。
いきなりプツリと全てが無くなり「無」になるんじゃないかと考えてしまうんです。
私の記憶も考えも、死んだ瞬間全て「無」になって、跡形もなく消えてしまうんじゃないかと。
意識なんてない、何も見えない、真っ暗で何もない「無」です。
そもそもこんなことすら考えることができないですよね。
だって「無」なんですから。
そうなりたくない。
だから幽霊は存在していて欲しいんですよ。
死後も幽霊として「生きて」いたいんですよ。
自分で考え、記憶して、世界を見ていたいんです。
………私は「無」から逃げたいんです。
おや?窓の外を見てください。
…遂に私たちもやつらに見つかってしまいましたね。
どうやらここまでのようです。
最後にくだらない話をしてすみませんでした。
そして、聞いてくださりありがとうございました。
それにしても本当に気持ちが悪いですね。
幽霊よりも何倍も恐ろしくおぞましい。
あんな化物にこれから私たちは…
水、譲ろうとしてくれてありがとうございました。
きっと貴方は天国に行けますよ。
もう限界のようですね。
それでは
幽霊になってまた会いましょう。
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