僕の年上の奥さん2
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「やっべ、滅茶苦茶可愛い、あ~私、花音ちゃんが可愛すぎて持ち帰りたい。このまま誰もいない家に一人で帰りたくない、辛い、孤独で死にそう…」
と変な台詞を呟いているのは高校の進路指導の先生で、僕のクラスを受け持っている担任(女性Ω、未婚)。因みに長いこと彼氏が居ないそうで、絶賛募集中とのこと。
「メッチャ身勝手で此方を困惑させるお花畑な台詞を吐いている所悪いけど、それ犯罪な?しかもロリコン」
「私ロリコンでは無いです~…」
「いや、立派なロリコンです。大事な娘を花音のお母さんから離し、誘拐する台詞をはく人は許せません。極悪非道です」
「そんな折衝な~愛くるしい子を愛でたいだけなのに~!」
「利害関係が一致しないから無理」
「ええええええー」
「つーか、学校の先生が赤ん坊を親から引き離そうとするな、思うな、言うな。教育的指導者だろうが、堪えろ。犯罪的思考は脳内から排除しろ。誘拐、駄目。危険思考排除しなさい」
「あぅぐぐぐぐぐ」
何だろうおかしい。
この部屋は進路指導室なのに、先生が生徒の進路を聞いたり相談したりする部屋の筈なのに、何故学生であり此処の生徒である僕のことはスルーされ、こうなった?
「あのな、幾ら花音が可愛いからって言っても花音はまだ0歳。一歳にもなっていないんだぞ。花音を産んだお母さんである俺から離したら死ぬぞ?主に俺が」
あ、そこ『お母さん』である帆貴さんが死ぬの?
赤ん坊の花音ではなく?
普通花音の方がヤバイのでは無いだろうか。等と思っていたら、
「引き離されたらストレス半端ないんだぞ?マジで母性本能と言うかΩの本能全力で全開するからな。今でさえ先生に花音と離されていてイライラが凄いし、変なこと言うから殴りたくて堪らないし。おまけに見ろ、花音が今にも泣きそうだ」
「うわ、御免なさい花音ちゃん!」
「俺には謝らないのかよ」
「先輩には謝りたくないです~!こんな愛くるしい可愛い子に恵まれているし!ウラヤマけしからん!」
「ほんっと最低な先生だな。教育委員会にチクってやる。『乳幼児を母親から奪おうとしたロリコン先生です』って」
「うぐあああ、やめてぇぇ~!」
何だろう。
僕は今漫才でも見せられて居るのだろうか。
そうこう言ううちに花音は帆貴さんが先生の腕の中から取り戻し、直後引き渡されて僕の腕に中に収まり、先程までぐずって泣きそうだった顔はあっという間に晴れて満面の笑顔。
我が愛娘ながら可愛い。
ちょっと目元に雫があるのは少々腹立たしいが、ギリギリセーフという事で。
腹立たしいけど。
どうでも良いが、先生がうちの奥さんのことを【先輩】と呼んだってことは。
ジトーと先生のことを睨みつけて見ると、
「ヒィ」
と小さな悲鳴。
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