第31話 敵か味方か
葵と茜は傷ついた体を癒すために休養を取ることにした。葵は猛烈な空腹を感じてもいた。水鬼は川の真ん中にある岩に腰掛けて、ずっとこちらを見ていた。
「あいつ気味が悪いな」「警戒しているみたいだけど襲ってくる気配は無い」
「ところで腹が減った。こっちの世界では何を食べていたんだ」
「この世界では時間の進み方が違う。今まで空腹を感じたことがなかったけど、葵と来てから、時間の経過が変わったみたい。私も何か食べたくなった」
「見たか。あいつ、何か合図をしているぞ」水鬼が着いて来いという仕草をしていた。水鬼は滝の中に入って行った。二人も後に続いた。驚いたことに滝の後ろには大きな空間が広がっていた。もう一つの驚きはその空間が明るかったことだ。
「どこから光が入り込んでくるんだろう」水鬼は平らな岩を指差した。その岩の近くに座れるような石がいくつもあった。水鬼は目の前に捕ってきたばかりの魚を置いた。跳ね回る魚に二人とも躊躇していると水鬼はポツリと言った。
「食べないのか」水鬼は魚の皮を巧みに剥ぎ取ると身の部分だけを食べた。
空腹に耐えきれなくなった葵と茜は魚にかぶりついた。空腹が満たされると睡魔が襲ってきた。二人はいつの間にか眠りに落ちていた。洞窟の天井から落ちてきた水滴が頭に当たり、額から頬に流れ落ちてきた時、水鬼は異変を感じた。
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