第9話
私はヨミガエリレイスに参加することを望み、丘の上に案内された。そこで死神の質問をクリアし、虹色の球が示す方向へ進んだ。
橋の先に門があり、虹色の球はその方向を指していた。私以外にも何名かプレイヤーがいて、皆橋を渡りだした。私もそれに続いて橋を渡る。
突然、鬼のような巨人が私達の前に現れた。
私はその巨人にこん棒で吹き飛ばされる。
(ここで終わり…?)
私は死を覚悟した。これで自分の人生が終わると思った。無念だった。
しかし、崖に落ちる手前で「彼」は私の腕を掴んだ。そして私は引き上げられた。
私は死ぬ一歩の手前で彼に助けられたのだ。
しかし、彼は血反吐を吐いて倒れた。
今にも息が絶えそうだ。
私は即座に薬を取り出し、彼を助けることにした。私の能力は、万能薬の生成。
どんな症状でも治すことができる。
私はヨミガエリレイスに参加している以上、この人たちと敵対関係にある。
でも自分を助けてくれた人を見過ごすわけにはいかない。
私が病気になって学んだことは、弱っている人を助けることが大切だということ。だから私は敵であったとしても彼を助けることにした。
彼が息を吹き返した。
この万能薬が現代にもあれば、どれほどの人を救えるのだろうか。
おそらくこの能力は、この世界だけのもの。
現世に蘇ったとしても、この万能薬を生成することはきっとできないだろう。
私は彼と話をして、もう一度一緒に橋の方へ向かうことにした。
橋には大勢の人が倒れていた。どうやら皆、鬼のこん棒にやられたみたいだ。
私はすぐに万能薬をつくり、皆に飲ませて回復させた。
京
「…なあ、どうして敵なのに助けるんだ?」
私を助けた彼は、私にそう問う。
だから私は答えてやった。あなたも私を助けたでしょって。そしたら彼は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
京
「確かに人のことは言えないや」
愛海
「でしょ?」
私は引き続き、倒れている人に薬を飲ませていった。
京
「ところで名前は?」
愛海
「ん? 私は三妻 愛海」
「あなたは?」
京
「俺は田辺 京」
「よろしく」
愛海
「うん! よろしく」
私は彼と握手をした。
敵同士なのに握手をするのは変な感じがしたけど、そのまま自然と受け入れることができた。
しばらくして、倒れていた人たちが意識を取り戻す。
京
「……さてと、これからどうするかな。一人で突っ込んでもやられるだけだから、皆で力を合わせないか?」
彼はここにいる皆に協力を仰いだ。
すると、一人の男性が口を開く。
男
「生き残ったメンバーで協力しない限り、この先へ進むのは困難なようだ…」
「どうだ?協力する気はあるか?」
その男も周りのプレイヤーに問う。
「ああ……もちろんだ。あんたの言う通り、ここは一人じゃ突破できない」
「でもどうやって突破するんだ?力を合わせると言ったってどうしようもない」
京
「俺たち全員の能力を駆使して突破するしか方法は無い。包み隠さず、それぞれの能力を見せよう。ここで能力をうまく使いこなせれば突破できるかもしれない」
「どうだ?そうしないか?」
京は他のプレイヤーに提案をした。
「わかった俺は協力する」
「お……俺も」
次々とプレイヤーたちが京の意見に賛同する。
しかし、中には反対する者もいた。その男は森林の方へ戻ろうと走り出す。
「俺は……ここ以外の道を探す」
ガラガラガラガラ!!
突如、その者が引き返そうとした矢先、
元来た道が崩れてしまった!
崩れた先は真っ黒で何も見えなかった。
「なんだよこれ……ッチ」
男は振り返り、京たちのもとへ戻った。
「仕方ない協力するとしよう」
結局、ここにいる全員が協力することに賛同した。
京
「じゃあ、まずはそれぞれの能力を見せ合おう」
「俺の能力はこれだ」
京は虹色の球を握る。虹色の球は鎖付きのかぎ爪へと変化する。
「これが俺の能力……というより俺の武器だな。」
言いだしっぺの京はまず先に自分の能力を見せる。
「俺も似たような能力だ」
先ほど引き返そうとした男は虹色の球からハンマー投げの「ハンマー」を生成した。
「俺も武器みたいなもんだ。」
続いて別のプレイヤーが槍を生成した。
愛海
「私は薬ね。みんなの体を治せたのはこの能力のお陰」
私も自分の能力を見せる。
京
「残りの二人は?」
「……」
残った二人は中々しゃべろうとしない。
京
「おいおい明かさないってのは無しだぜ?」
男
「お……俺は…」
一人の男は自分の能力を言いたくないのか、非常に言いにくそうな感じだった。
「俺の能力は…皆の役に立たない……。」
京
「なんだ?言ってみろよ」
男
「俺は心臓が二つあるんだ。」
京
「は? 二つ……?」
男
「そう…俺の能力は命が二つあるってことなんだ」
「俺…心臓病で死んで…それで心臓が二つあれば生きれるって……そう思ったんだ」
京
「なるほどな……」
彼らの能力のほとんどは、死に際に必要だったものが多い。
それぞれその能力があれば、死ぬことは無かったと思わせるようなものばかりだ。
槍を持った男
「あとはお前だけだ」
残り一人能力を明かしていない者がいた。
メガネをかけた短髪の男だ。
メガネの男
「俺か……俺はここだ」
男は右人差し指で自分の頭の側面をつつく。
メガネの男
「明快な頭脳」
京
「ほう……それはそれは大そうな能力だな」
京はその男に少し不信感を抱く。
メガネの男
「お前たちの能力は把握した。これより先は俺が仕切る」
ハンマーを持った男
「なんだお前。いきなり」
槍を持った男
「つまり、その頭脳でここを突破できるって言いたいのか?」
メガネの男
「そうだ。この俺の頭脳なら、ここにいる全員をあの門へたどり着かせてやるよ」
京
「言ったな…期待してもいいんだな?」
メガネの男
「もちろん」
槍を持った男
「じゃあさっそくどうやってあの化け物を避けて門まで行けるか教えてもらおうじゃねーか」
メガネの男
「俺の憶測だが、恐らくあの化け物は近づいたものしか襲わない」
「ゆえにどこか橋に境界線があって、それを越すと襲ってくると踏んでいる」
京
「それで?」
メガネの男は一瞬、京を見てはそっぽを向き、ハンマーを持った男に話しかける。
メガネの男
「お前、ハンマー投げの選手か?」
ハンマーを持った男
「あん?そうだが」
メガネの男
「試しにあの化け物にハンマーを投げてみろ」
ハンマーを持った男
「はあ?そんなの危ないに決まってるだろ!?」
メガネの男
「槍でもいい。とにかくあいつに何かをぶつけるんだ」
槍の男
「ぶつけてどうするつもりなんだ?」
メガネの男
「もし先ほどの俺の考察が正しければ、あの化け物は音を頼りに動くことがわかる」
「それを証明するためにハンマーや槍を橋の向こうへ投げつけて確かめたい」
ハンマーを持った男
「バカか?もしこっちに襲ってきたらどうするつもりだ!?ただじゃ済まされねーぞ!?」
メガネの男
「いいからやれと言ってるんだ…! 俺に従え」
ハンマーの男
「バカ言うんじゃねえ!!」
プレイヤーたちが言い争っている中、私は目の前の異変に気づく。
愛海
「ねえ…後ろ…」
先程の崩れが、私たちに向かってどんどん迫って来ていた。
槍を持った男
「おいおい…どんどん足場が崩れていってるぞ!?」
ハンマー持ち
「冗談じゃねえ…!?」
メガネの男
「早く投げろ!時間が無い」
ハンマーの男
「ふざけんな!てめぇが投げろ!!」
京
「ああもうごちゃついてもしょうがねえ!わかった!俺が囮になる!!」
愛海
「京君!?」
京
「俺ならこの鎖であちこち移動ができる!」
「俺が巨人の囮になるから、その隙に何とか橋を渡れ!」
愛海
「そんなことしたら京君が!?」
京
「大丈夫だ。俺はこう見えてもすばしっこい」
「皆が渡り切った時は、ハンマーとか投げて巨人を別方向へ仕向けてほしい。いいか?」
ハンマーを持った男
「わっ…わかった!」
京
「しくじるなよ!!」
ハンマーを持った男
「大丈夫だ!やってやるよ!!」
京は先陣を切って、かぎ爪を橋につけて、ワイヤーで移動する!
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