第9話 新天地創造
想太と朝香はアツシの案内でアツシが探してくれた島へと転移する。
「よっと。へぇ~いいね。気候も安定しているようだし」
「そうね。平地もそれなんりあるし。住むのには問題ないみたいね」
『ですが、ソウタ達はどうやら招かれざる客のようですよ』
「あ~そう言えばそうだったね……ハァ~あまり、無意味な殺生は好みじゃないんだけどな~」
『それがそうでもないみたいですよ。まず、ここにはゴブリンはいません。今、ソウタ達を取り囲もうとしているのはオークみたいですね』
「じゃあ、オークを別の場所に追い払えば肉的には困らないってこと?」
『そうなりますね』
「じゃあ、その前に……」
想太は自分達の周りに障壁を張ると、テーブルと椅子を用意し座ると、島の様子を朝香とも共有出来るようにと、土魔法で島の模型を用意する。
『あ、そこは、ちょっと違いますね』
「え? こんな感じじゃなかった?」
「そうね、アツシの言う通りちょっと違うかな」
「そんなの誤差でしょ」
どうにか模型を完成させると、奴隷だった人達を集める場所としては平地を確保したい。だが、この平地はオークの活動拠点のようで、このままでは利用することは難しい。
今も障壁をどうにかしようとオークの群れが手に持っている棒きれでガンガン叩いている。
「アツシさ~案内してくれて悪いんだけど、ここは無理じゃないかな」
『そうですか? ここにいるオークを殲滅すればいいだけの話ではないですか?』
「でも、ここに来る人は全部が全部、戦える訳じゃないし……」
『ふむ。そうですね。では、ここはオーク牧場ということにして、近くに住める場所を用意した方が良さそうですね』
アツシの提案に乗っかって、近くに住める場所を用意することになったが、想太はどうやってと首を傾げる。
『またですか? ハァ~』
「え? 俺何かおかしなこと言った?」
『ええ、言いました。いえ、正確には思ったと言った方がいいのでしょうね』
「ん?」
アツシが呆れる理由が想太にはよく分からなかったが、朝香は思うところがあったようで、戸惑う想太に助け船を出す。
「ふふふ、想太。あのね、アツシ君が言いたいのはね、何度も想太に言っているのに想太がそれを分かってくれていないことに呆れているのよ」
「え? どういうこと?」
「本気で言ってるの?」
「……うん」
「ハァ~アツシ君が呆れるのもしょうがないわね。いい? これまで想太がアツシ君に何度も言われたことだよ。『ソウタに出来ないことはない』ってね」
「あ!」
「分かった?」
「うん、分かったけど……それでどうやって住むところを用意すればいいの?」
「それは……アツシ君、お願い」
『分かりました。では、私からの提案はこうです。いいですか……』
想太と朝香に対し、アツシが説明したのはこのオークが占拠する島の近くにほぼ同じ大きさの島を用意する。用意するのは想太が土魔法で海底から隆起させて陸地にする。
そして、出来た陸地には平地だけでなく水源となる泉や山に森林も用意する。
そこまでやって、初めて奴隷だった人達を呼べるだろうということだった。
「なるほどね、じゃやってみようか」
「そうね」
『では、近くに転移しましょうか』
障壁のドーム内から想太達は島の上空に転移すると下を見る。
「じゃ、始めようか」
「うん、任せた。やっちゃって!」
『では、あの辺りに島を作っちゃいましょう。大きさは……倍にしときましょうか』
「また、簡単に言っちゃって……じゃあ、やってみるから。アツシは調整をお願いね」
『賜りました』
「じゃ、始めるよ……」
想太は島の位置を決めると、その位置に向けて手をかざし「むむむ……」と唸り出す。
「想太?」
『少し待って下さい。今、海底から地面を隆起させているので』
「あ、そうなんだ。ゴメンね」
「むむむ……」
想太は朝香を気にすることなく、作業を続けること数分。やっと海面に隆起した地面が姿を見せる。
「あ! 凄い! 本当に地面が出て来た……」
『もう、ここまで来たのなら後少しですね。では、私もお手伝いを……』
想太が作った地面に対し、大きさや起伏などをアツシが調整する。
『ソウタ、そろそろいいですよ』
「うん、分かった。ふぅ~いやぁ意外と疲れた……かな?」
「お疲れ様。なんとか出来ちゃうもんだね」
「ホント、そうだね。アツシに乗せられた感もあるけど、なんとか出来ちゃったね」
『まだ、言うのですか。ハァ~いい加減に分かって欲しいのですがね』
「いや……分かるんだよ。分かっているんだけどさ、実感ていうかなんていうかさ」
『まあ、いいです。ですが、いい加減に自分の力を理解して欲しいですね』
「すみません……」
『ハァ~、いいですよ。とりあえず、上陸しましょうか』
「うん、そうだね」
出来たばかりの島の上に想太達が上陸する。
「ねえ、最初に下りた島とそんなに離れていないみたいだけど、オークがこっちにくることはないの?」
『それは心配ないですよ。隣り合っている場所は、こちらの島の方を高くしているので、間を飛び越そうとしても無理でしょうね』
「へ~そうなんだ。じゃあ、こっちから行く場合はどうするの?」
『まあ、それは後で考えましょう』
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