『俺』が『私』に至る前… ②
さて、夏休みに差し掛かり、太陽よりも推しの配信を見ているほうが長くなっていたころ。…え?宿題やれって、母さんじゃあるまいし。留学前だってのにやっていないはずがないでしょうが。
そう!俺は推しの生配信を見るために(自分のためともいえる。ってことは相思相愛か⁉)、この二週間で留学の用意・大学の宿題・兄から妹へのありがたいお告げ(背負い投げで終了)を完了させたのだ。
ギリギリではあったのだが遂に明日、留学生として一か月間旅立つことになる。行先は『イギリス』だ。ネイティブな英語を学ぶのにこれ以上最適な国はあるのだろうか?いや!ない‼
うーん、カナダとか留学生ひゃっほいみたいな国を選んでもよかったのだが…逆張りといえば逆張りである。でも、カナダって日本みたいな陰の気配がしない?
それじゃあ、向こうでも日本の二の舞になってしまうと考えた俺は、メシマz…げふんげふん、フィッシュアンドチップスくらいしか有名な食べ物知らない国へと旅立つのだ!
下心がないわけではない、しかし、俺は腐っても(変態)紳士の末席である。決してリアルでメイドや執事を見てみたかったわけではない、決してな‼
そもそも、俺らが思っているメイドとか執事が一般的なイギリスの住宅地で見つかるとは思っていないからね。
実はこの前執事のコスプレをしたことがある。無論、おうちの中だ。なかなか様にならず、スマホで調べた仕草を試したりしたが、なんかもう戻れなくなりそうだったために辞めた。
…ちなみに後日執事服を洗濯に出したときに、セット商品でついてきたメイド服も一緒に出してしまい、両親に冷たい目で見られた。も、もういい加減自分の洗濯物は自分で洗えってことかな~(その服は後日妹の部屋にかけてあった)
でも、自分で決めたことでも、やはり実家から長く離れるという決断は…つらいものだった。
推しVと同じ国に住んでるというある種の優越感があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
◇
その夜はお寿司や空揚げが並ぶ大ご馳走だった。小学生の運動会かな?
…いや、おそらく母さんが手を抜きたかっただけかもしれない。父さんが喜ぶからって、ほぼ毎日手作りで夕ご飯を用意している母には、感謝してもしきれない。
というか、この年齢で陰キャでコミュ障なのに、親と一緒に飯食ってるって偉くない?偉いよなあ?
…どこかからシスコン・マザコンという声が聞こえてくる。ファザコンも足しとけ!
そんなことを考えながら、楽しい夜は更けていく。
そんな中、何故か妹の舞だけは、少し暗めな顔をしていた…推しが引退したか?
◇
玄関で、家族の皆が集まっている。我が家は全員が今日休みなのだが、こんな時間にもかかわらず集まってくれた。こんな些細なこと一つで、自分が如何に愛されて育てられてきたのかを思い知らされる。
涙を堪え、玄関から新たな一歩を踏み出す。
「ミーニャちゃん、吹雪さん、博士く~ん(Vfuture1期生)、行ってきま~す!」
「「「私たち(俺たち)に挨拶をしろや‼」」」
こうして俺は玄関から外へとぶっ飛ばされた。いつもより威力が三倍だったのは両親もゴリラだということか。 いてっ(追撃)
もちろん壁に貼ってあったポスターは避難済みである。家帰ったらびりびりに破かれてるかもしれないからな。
★
はい、過去パートはこれで終了。次回、俺死す!デュ〇ルスタンバイ!
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