ときには、ほっこり気分の闇バイト話でも。報酬すごっ!

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 ちょっと考えて、エモッ!最後のセリフは、だれが言ったもの?だって、こんな世の中…気分を落ち着かせたい人は、どうぞ…!

 大学生のパンツ君(本名)は、悩み中。

 「お金、ほしいな…」

 ほっこりとあたたかい気持ちになれるミステリー、はじめ!

 「そうだ。あいつがこの前、高額な報酬を得られる仕事があるって言っていたな」

 あいつとは、同じ大学に通う友だち。

 スマホに手を伸ばし、教えてもらったサイトにアクセス。

 「荷物を受けとるだけの、簡単な仕事」

 …ちょ、やばい系?

 謎グループが提示した報酬が、これ。

 「大変に価値ある物」

 良くわからないが、彼はすぐ応募。

 謎グループから、Rマートという名のスーパーマーケットの駐車場に向かうよう指示を受けた。

 「詐欺の受け子か?」

 着くと、紙袋を抱えながらおびえる女性高齢者が立っていた。

 「 1人か。謎グループの情報は、たしかだな…」

 例のグループは、女性高齢者が小学校低学年生の子を孫にもつこと、通っている学校まで調べあげていたようだ。

 「…もしもし。○○ちゃんのおばあ様でしょうか?私は、○○ちゃんの通う小学校の者です。実は、○○ちゃんが大変なことに…」

 かなりの治療費がかかりそうだと伝えた謎グループは、こうもだめ押し。

 「かわいい○○ちゃんを助けられそうな分を、持ってきてください!場所は…」

 金を出せとは、言っていない。

 ずる賢いな。

 「どうして、学校とかじゃなくてスーパーマーケット?」

 女性高齢者には、そう疑う余裕はなかったろう。

 「高齢者は、日本中の金を独占していて強い身分。安心しろ、俺!あの高齢者が相手じゃ、弱い者いじめとはいえない…」

 身勝手な想像をしてしまう、彼。

  2人は、駐車場で接触。

 「これが、大金以上の価値がある物です」

 「ありがとうございます、おばあ様」

 「…これで、孫は助かりますか?」

 「おばあさま?ご心配なく」

 袋を受けとる彼。

  2人は、すぐに別れた。

 「大金以上の価値?宝の地図でも、入っているのか?…え?」

 袋の中には、学校の運動会で孫と一緒に走る姿などを撮った写真数十枚が入っていた。

 「何これ?」

 汗、タラ~リ。

 大学の友だちに伝えると、いやな返答。

 「お前は、ほっこり犯罪者だな」

 そこで、思い出す。

 「大金以上の価値がある物」

 …あ。

 …そうか。

 あの女性高齢者には、孫の写真が宝石の価値で輝いていたのだ。

 「ごめんなさい」

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