輪島に行ったときの話

 のと里山海道が全線交互通行開通したとのことで走ってきた。

 震災後能登方面に向かうのは初めてだった。千里浜あたりまでは普通に走れたんだけど、七尾過ぎたあたりから明らかに様相が変わっていった。段差や亀裂を埋めた跡、崩落した道路を避けて作られた迂回路、改めて目の当たりにして発災当初はなおひどかったんだろうと思った。昨年新しく作られたという空港~輪島までの道路だけはやたらと綺麗だった。(それでも段差やらはあったが)思ったより時間がかからず着いたのが意外だったかな。

 街中を通っていたら、倒壊した家屋がばんばんあって、かろうじて建っているような家にも張り紙が貼ってあって。311経験したから震災がどんなもんかは分かってるつもりだったけど、あの時とはまた別種の怖さだった。けど港の感じとか残っている建物がつくる街並みだとかはまだ面影が残っていて素敵な町だったんだろうなあと思った。火事のあった一帯も見たけど、本当にあたり一帯が何もなくなっていて。海沿いのマリンタウンに停めて堤防の近くも見たけど、原型留めないくらいぐにゃんぐにゃんになっていた。津波で全部流されたのとどっちがましなんだろう、とも思った。釣りしてるおっちゃんたちが結構おって、近くの公園でたむろしてるガキもおった。朝市の通りもちらっとだけ見たけど崩れたままで切なくなった。けど仮設住宅が相当数建ってたし、そもそも里山もこんなに早く通れるようになるとは思ってもなかったから復旧のために頑張ってくれた人がおるんやなと思ったりもした。

 半壊、全壊になった家でも住み続けている人がいる、って聞いていて、なんとなくその気持ちが分かった気がした。あんないいとこにずっと住んでたら他のとこ住みたくなくなるもん。復旧、復興がどこまで進められるかは分からないけど、何とかならんかなあと思う。


 後日美容室に行って輪島に行った話を美容師さんにしたら、みんな遠慮してるけど行って欲しいって言われてちょっと安心した。知り合いがいたり縁がある土地じゃないから物見遊山じゃないけどそんな風に思われたら悲しかったし。

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