第16話 全員、集まれ!

 俺が了承するとイケメン達は素早く動き出すとアッという間に王妃達と謁見することになった。


「ねえ、出来ればでいいんだけど、ソフィアの父親である王様と上の王子も一緒にいいかな」

「それは出来ない」

「あ、そう。タロ」

『ワフ!』

「元の大きさに戻っていいよ」

『え、いいの?』

「いいよ。戻って」

「おい、お前何言ってんだよ。それにソイツはなんで喋ってんだよ!」

「「「あ……」」」


 俺が下から丁寧に頼んだのに逡巡することなく「出来ない」と断られたので、俺はタロに元の姿に戻るように頼むとタロも普通に「いいのか」と聞いてくるから、構わないと言うとジムと呼ばれた衛兵のお兄さんが俺に何をするつもりなのかと聞いてくるが、他のイケメン達は大きくなったタロを見て驚愕している。


「で、どうかな? 俺の希望は通してくれるの? ね、どうなの?」

「お、お前……さっき出来ればと言っていただろうが!」

「うん、言ったよ。でもそれに対してにべもなく『ダメ』と言われたから、ちょっとだけムカついちゃったんだ」

「お、お前……ちょっとムカついただけって」

「あ、衛兵のお兄さんはとばっちりだけどゴメンね。で、そこのイケメンのお兄さん達はどうなの? 俺の希望は通るの? 通らないの?」

「ま、待て……分かった。伝える! 伝えるから、な。だから、何もするなよ。いいな」

「それはフリなのか?」

「アオイ、いいから。まったく何処で覚えたんだろうか」

「どこって、そりゃお前の頭のな「あ~そうだったね」か……まあいい。で、まだ暴れないのか?」

「うん、折角イケメンさん達がどうにかしてくれるって言うしちょっとだけ待つよ」

「そうか。ほら、コータがこう言っているんだ。さっさとここに呼んでこい!」

「は、はい! 直ちに……おい、行くぞ!」

「え、でも……」

「バカ! お前、あのデカいアイツに勝てると思うのか! いいから、急ぐぞ!」

「は、はい!」


 さっきまで余裕があるイケメンだったのが、今は髪を振り乱して焦って走って部屋を出て行った。


「さ~てと、どのくらいで来るだろうね」

「待たされるのは得意じゃないのだがな」

「千年単位で引き籠もっていた割には短気なの?」

「ふむ、そう言われればそうだが、多分だが、これはコータの影響もあるんだろうな」

「俺の?」

「ああ、お前の頭を覗いた時の影響だろうな」

「ふ~ん」

「ふ~んって、お前……どうすんだよ!」


 俺とアオイがソファに座り寛いでいるとタロに遊ばれている衛兵のお兄さんが俺に不満を漏らす。


「もう、ここまで来たらなるようにしかならないでしょ。それに逃げようと思えばいつでも逃げられるからね。なんなら、お兄さんも一緒に逃げる?」

「……あ、いやダメだ、ダメだ。もう、本当にどうすんだよ」


 そんな風に衛兵のお兄さんがぐだぐだしていると部屋の扉がいきなり開かれると、そこにはイケメンではなくダンディなおじさまが立っていた。そして、そのおじさまはさっきのイケメン達と同じ様な白を基調とした制服を着ていたことから、俺はこの人が例の親衛隊の隊長なんだろうなと理解する。


 だが、このおじさまは部屋の扉を開けたまま、口も開けたままの状態で立っている。


「親衛隊長殿、大丈夫ですか?」

「あ、ああ……ジム。私はもう親衛隊長ではない。その呼び方は改めてくれ」

「そうですか、ではなんと?」

「ふむ、そうだな。マイクと呼んでくれ」

「では、マイク様。今日はどうしてこの部屋へ?」

「ああ、一応隊長を辞任するにあたり挨拶でもと思ったんだが……これはどういうことなんだろうか。説明してもらえるかな?」

「はい、では。中へどうぞ」

「ああ、そうだな」


 親衛隊長と呼ばれたマイクさんは俺達のことを訝しげに見ながら俺達の前のソファに座ると俺をジッと見詰める。


「何か?」

「あ、すまない。失礼ついでに聞くが、もしかして手配書の……」

「はい。そうです。俺がそうみたいですよ」

「そうか。自分から出頭したのか」

「いえ、中央広場で妙に額が広いおじさんに、そこのジムさんに引き渡されました」

「ジムに?」

「は、はい。そうです」

「そうか。で、他の連中は?」

「それがですね……」


 マイクさんに尋ねられたジムさんが今の現状を事細かに説明すると、また俺の方をジッと見詰めだす。


「そうか。で、君は何をするつもりなんだ?」

「謝ってもらうつもりだけど?」

「謝る? 誰に? 誰がだ?」

「誰にって、そりゃぁ俺にでしょ。誰がは……ソフィアを殺そうとした連中かな」

「「え?」」


 俺が言ったことにマイクさんだけでなくジムさんまでが驚く。


 ジムさんはともかく元親衛隊長のマイクさんまで驚いたのはどういうことだろうかと思ったが、それは俺の知ることじゃない。


「なあ、ソフィアってのは第三王女のことだよな」

「そうだけど」

「そうだけどって、お前……そんな大事なことをあっさりと言うなよ!」

「ジム、止めるんだ」

「でも、マイク様……」

「私もその計画とは無縁ではない」

「え?」

「いや、むしろ私がしたことになっているかも知れないな」

『肯定します』

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