第34話 パンツを履こう
ギルマスが俺のカードを受け取るとノエルさんに二言、三言告げてから渡す。ギルドカードを渡されたノエルさんは怪訝な顔をしながらもギルマスの指示に従い俺のギルドカードを手に退室した。
「返してくれるよね」
「心配するな。ちょっとしたプレゼントだ」
「ん? 分からないけど返してくれるのならいいか」
「それでだ……他に何か隠してないか?」
「他って?」
「あ~そうだな。例えば『闇ギルド』とか……だな」
「え~と……」
俺はこのまま正直に言っていいものかどうかクリフさんの方を見るとクリフさんは俺を見て黙って頷く。
えっと、話しても問題ないということなのかと判断し、姫さん達がゴブリンやオークの混成隊に襲われた時のことをギルマスに話す。そして、それを指揮していたのが今回の襲撃者と同じ格好をしていた連中であるということも。
「すると、ソイツらも闇ギルドの連中なのか?」
「そこまでは……だって冒険者ギルドに加入する前だからギルドカードも持ってなかったし」
「お前も妙なところで抜けているな。まだソイツらはお前が持っているんだろ? なら、さっさと鑑定すりゃいいだけの話だろうが」
「あ! そうだよ。見ればいいんだ。ちょ「おい、ここで出すなよ!」っと……ダメ?」
「お前な、子供もいるだろうが! それに血で汚すこともないだろうが!」
「あ~そっか」
前に保管している襲撃犯を出して鑑定しようとしたら、ギルマスに止められたので後で場所を貸してもらって検分することにした。
「それでお前はお前で自分なりに答えを出しているんじゃないのか?」
「そうですよね。私なりにも考えてはみましたが、どうでしょう。私と答え合わせでも」
「答え合わせですか」
ギルマスに何を感付いているのかと聞かれた時にクリフさんも俺が何かを感じ取ったと思っているらしく、それなら自分と答え合わせをしてみようという話しになった。
「えっと、先ずは俺から……襲撃犯は闇ギルドを使っているけど格好は宮廷魔道士の格好をしている。これは間違いないんですよね」
「はい。私はこの前の襲撃犯をコータ様が捕縛した際に宮廷魔道士の制服を着ていたのは確認しています」
「はぁ? 宮廷魔道士だぁ? なんでそんなのが魔物を引き連れているんだよ」
「だから、多分だけど雇い主が闇ギルドの連中に着せたんだと思うよ。だって考えてもみてよ。態々関与を示す物を用意して襲撃する? 普通は身バレを防ぐよね」
「まあ……な」
「だから、今回のも前のも宮廷魔道士の仕業にしたい誰かってことになるよね」
「だが、宮廷魔道士の仕業にして誰が得するってんだ?」
「だから、ソレが誰かって話だよ。宮廷魔道士の制服にしてもそんなに簡単には手に入れることは出来ないんでしょ。クリフさん」
「はい。王家の紋章入りの制服なので、そう簡単に手に入れることは出来ません。ああいった物は、その所属する部署に王家からの貸与になりますからね」
「へ~」
クリフさんからの話を要約すれば王家の紋章が入った宮廷魔道士の制服は誰でもが手にすることは出来ないし、制服自体は貸与という形を取っているので購入すること自体が出来ない。
「だとすれば、考えられるのは『窃盗』だよね。その制服を持っている宮廷魔道士自体を襲うか殺すなりして制服を盗んだりとか」
「いえ、それは無理がありますね。宮廷魔道士が襲われればすぐに王家に通達が行くはずですから。同じ様に制服が盗まれたとすれば、その宮廷魔道士から報告が入るはずです。その制服が悪用されれば、盗まれた本人も罰せられますからね」
「え~じゃあ無理ってこと」
「いいえ。他に手があるとすれば制服を作っている商店……考えたくはないですが、製造元を疑うのも一つの手ではあります」
俺とクリフさんの考えを纏めれば制服を手に入れるとすれば、宮廷魔道士自体を襲撃してから制服を奪うか、家に忍び込んで盗むということが考えられるがクリフさんに否定される。その上でクリフさんが考えたのは製造元から直接手に入れるという手段だ。
よく考えてみれば都合六人分の制服を手に入れていることからも襲撃でも窃盗でも数を揃えるのは無理だろうと思う。
だから、クリフさんが提案している説が一番的を得ているような気がする。
「ん~どうもクリフさんの答が一番理に適っていますね」
「分かりました。では、私の方から王都の方へ連絡してみましょう」
「あとね、考えたくはないんだけどワルダネ領の閉鎖とヒュドラは偶然とは思えないんだよね」
「ん? それはどういうことだ?」
「だからね、ワルダネ領への立ち入りが制限されれば、川を利用することは普通に考えるでしょ。でも、そこにはヒュドラに棲家を追われたリザードマン達がいる。オマケにリザードマンは言葉が話せないから、人は頼れないし人からは疎まれるから、諍いになって川を利用することが難しくなるでしょ」
「そうですね。となれば、ワルダネ領の……」
答え合わせが終わったところでノエルさんが俺のギルドカードを持って部屋に戻ってきた。
「はい、お待たせ。どうぞ」
「ありがとう。それで何が変わったの?」
「ふふふ、気付かない?」
「ん~あ! マジ?」
「マジみたいよ」
ギルドカードの表面には「Bランク」と記載されていた。
「あれ? でもBランクに上がるには試験が必要って聞いてたけど?」
「ああ、それはね。試験というよりは『殺めることが出来るか』ってことを確かめるだけなのよ」
「ん?」
「あのね、護衛任務とか普通に依頼を受けている時に野盗に襲われたりするでしょ。その時に対人で殺めることが出来ないなら依頼は失敗するでしょ。だから、Bランクに上がれるってことは、そういう覚悟も含めての試験なの」
「あ~それでBランクに上がれたんだ」
「そういうことみたいよ。まあ、ヒュドラを単独で討伐出来るってだけでもAランクに上げてもいいくらいだけどね」
「納得したか?」
「うん、ありがとう」
「あと、これ……こっちはコータ君からキュリさんにお願いね。じゃ、ジュリちゃんは私と一緒にいいかな」
「ウン」
ノエルさんは俺に袋に入った何かを渡すとジュリと一緒に部屋の外に出て行く。俺は袋の中を確かめると「あ~」と納得してからキュリに渡す。
『なんだ? 何かくれるのか?』
「いいから、コレを履いて!」
『なんだこれ?』
「いいから、履いてよ。ほら、今も出てるし!」
『うん、ああコレか。気にするな』
「いや、こっちが気にするから履いて欲しいんだって。いいから、ほら!」
『面倒だな……』
キュリは俺が渡したパンツに足を通すと『これでいいのか』と確認してくるが、いや出てますがな! しかも丸出しでパンツの意味がないですから!
「キュリ、違う! 前後逆だよ。それは尻尾を通す穴だから!」
『お~そういうことか。いや、隠せっていう割には丸出しになるから不思議に思っていたんだよ。そうかそうか、なるほどな』
キュリはパンツを履き替えて俺に見せてくるが、いいから一々見せるなよ。
キュリに見せられたモノと自分のモノを思い返して比べてみる。多分、大丈夫だよな。今の俺の身体は成長期のハズだし、見た目も和風じゃなく洋風だから期待していいんだよな。
『否定します』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます