第14話 いきなりなんですか
状況に着いていけずに説明して欲しいとクリフさんに目で訴えているとふぅ~と息を吐いたクリフさんが実はと話し出す。
クリフさんが話してくれた内容から分かったことは、目的地であるクレイヴ領に行くにはここ、キンバリー領の隣の『ワルダネ領』を通るのが最短なのだが、そこの領主から『外部からの旅行者は通さない』と通達がされたらしい。
その通達の内容はワルダネ領内で原因不明の病が発生したため、安全面から領内への立ち入りを禁ずるということだった。
だけど、そのワルダネ領への立ち入りを禁止されてしまうと、クレイヴ領へ行くためにはぐるっと大回りする必要があるため、行程が数ヶ月単位で延長されてしまうことになるらしい。
俺は話を聞いて他にルートがないものかと『
だけど、このまま姫さんが泣いているのは俺の精神上にも肉体的にもよろしくないので、まずは姫さんを俺から離す為にクリフさんにこの辺りの地図を見せて貰えないかと頼んでみる。
クリフさんは俺からの要請に「分かりました」と答え、卓上のベルを鳴らすと現れたメイドさんに地図を貸してもらうように頼んだ。
「しばらくお待ち下さい。ですが、なぜ地図を見たいとおもったのでしょうか。参考までにお聞かせ願えればと思います」
「いえ、単に他に迂回路がないのかなと思っただけです」
「そうですか」
少ししてクリフさんから頼まれたメイドさんが巻物をクリフさんに渡す。クリフさんはメイドさんに簡単にお礼を述べるとテーブルの上にそれを広げて姫さんに抱き着かれたままの俺に説明を始める。
「概略図になりますが、ここが今私達がいるキンバリー領でここがワルダネ領、そしてここが目的地でもあるクレイヴ領になります」
クリフさんが説明してくれた地図はグーグルマップどころか、『宝の地図』レベルだった。
だって、山とか川とか大まかすぎて、本当にこれが地図なのかと疑いたくなるレベルだった。そこで俺は思い出す『異世界での地図は希少』だということを。なぜ、希少なのかと言えば余りにも詳細な地図を作ってしまうとそれを利用して敵に攻め込まれるかららしい。
それにしても簡略すぎるよなと思ったが、大体の位置関係を視界に映る『
それならば、ここからは俺の考えを説明してみようと思い、クリフさんに地図上の川を指して「ここを利用すればすぐじゃないんですか」と言ってみるが、クリフさんは難しそうな顔をして首を横に振る。
「確かに地図上ではそう見えますが、地図では見えない事情があります」
「事情?」
「はい。ここにはリザードマンが住み着いているのです」
「ん?」
クリフさんの言葉に俺は不思議に思う。獣人がいるのだから、他の種族がいるのは容易に想像が付く。でも『いるから何』と思ってしまう。
「コータ様には知らない土地なので理解出来ないのもしょうがない話だと思いますが、この湖を拠点にリザードマンが我々の侵入を許さないのです」
「コータ、母様に会いたい……」
それまで俺に抱き着いていた姫さんが顔を上げて俺に言う。
「任せろ」と言いたいところだが、リザードマンってアレだよねと脳内に浮かぶのは蜥蜴を人型にした水棲最強の戦士だ。これって話し合いでどうこうじゃないよねと思ってしまう。
まずは希望的観測がないかをクリフさんに確認してみる。
「クリフさん、リザードマンが河川を占領しているってことなんですけど、話し合いとか出来ないんですか?」
「そうですね。私も聞いた話ですが、リザードマンとは会話が出来ないと言われています」
「え? ってことは話し合いが出来ないってことなんですか」
「ええ、そういうことになりますね。今まで何人かリザードマンとの交流を図ろうとしましたが、意思の疎通が出来ずに諦めたと聞いています」
「へ~そうなんた。でも、魔法がある世界なんだからなんとかなりそうだけどね」
俺がそう言った瞬間にクリフさんの目が光った気がした。俺、何かやらかしましたか?。
「コータ様、確かにこの世は魔法がある世界です。気長に待てばコータ様の言うようにリザードマンとの間を取り持ってくれる存在が出て来るかも知れませんが、それまで待つことは出来ない状況です」
「ん~参りましたね」
「はい。ですが、コータ様にはタロ様がいます」
「はい?」
「ですから、タロ様と一緒にリザードマンの元に赴けばリザードマンもタロ様の存在を無視出来ない形になりなんらかの進展があるかも私は考えております」
「へ?」
「聞けばコータ様はCランクになられたと聞いております。ならば、指名依頼を受けられますので私から『リザードマンとの交渉』を依頼させて頂きますね」
「はい~?」
「明日、冒険者ギルドの方へ依頼を出しておきますのでコータ様はお昼前にでも冒険者ギルドへお越し下さい」
「えっと、どういうことでしょうか?」
「では、私とお嬢様はひとまず失礼させて頂きます」
そう言うとクリフさんは姫さんを俺から引き離し、そのまま部屋から出て行った。
「タロ、どういうことなの?」
『初めてのお仕事をもらったの』
「あ~そういうことね」
『うん、そうだね』
って、なるか~い! なんだよ、『リザードマンとの交渉』って、手土産でも持って行けってか!。
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