第13話 またもやテンプレの展開
立っているオジサンが誰もいないので歓迎会は終わりかなと思いタロ一緒にギルマスの所へ行くとニヤニヤしながら、ギルマスがちょっと待てと言い、ノエルさんに何かを耳打ちするとノエルさんが俺に言う。
「コータ君、ギルドカードを預かります」
「え? 困ります」
「すぐに返しますのでお願いします」
「本当ですね?」
「はい」
「分かりました。絶対に返して下さいよ」
「なんだか、そこまで念を押されると返したくなくなりますね」
俺からギルドカードを受け取ったノエルさんがなんだか不穏なことを言っているが、そんなノエルさんに耳打ちしたギルマスはさっきからニヤニヤが止まらないようだ。
ハンスさんはハンスさんで信じられないものを見たような顔になっている。
「ギルマス、何をノエルさんに言ったんですか?」
「ギルマス? それって俺のことか?」
ギルマスをギルマスと呼んでしまいギルマスことダリウスさんは自分のことかと俺に確認してきたので、「ギルドマスター」を略して「ギルマス」でしょと説明したところ「うん、いいな」と気に入ってもらえたようだ。
「それで、ノエルさんに何を耳打ちしたの? ちゃんとギルドカードは返してくれるんだよね」
「あ~心配するな。少しだけランクアップさせるだけだ」
「ランクアップ?」
「ああ、そうだ。これだけのCランク間近の冒険者共をまさに一網打尽にしてしまったヤツをGランクに置いておくのはおかしいだろ」
「いや、でも登録したばかりですよ」
「そうだな。俺の権限ではCランク止まりだ。スマンな」
ギルマスはそう言ってニヤつきながら俺に頭を下げるが、なんだかイラッとするのは間違いじゃないだろ。それに横で聞いていたハンスさんは頭を抱えていたりする。
そりゃそうだよな、ふらっと冒険者ギルドに登録にしに来たついでにCランクになりましたって言われたら俺だってイヤだよ。でも、これも一つのテンプレだよなとニヤつく俺がいるのも事実だ。
そんなこんなでノエルさんがお待たせしましたと俺にギルドカードを渡してくれたので渡されたギルドカードを見ると、『Cランク』となっていた。
「普通なら、こんなことないんですけどね。ダリウスが面白いからいいだろって言うもんだから」
「おい、そんなことはいいから、俺のことはギルマスと呼んでくれ!」
「そんなことって言い方はないでしょ! その内、ギルドマスターの職権乱用で降格されても知りませんよ。っていうか、ギルマスってなんのことですか?」
「いいだろ?」
「答えになってません! コータ君、何か知っているよね?」
「あ、え~と……」
ノエルさんの勢いに押される形でどうして、ダリウスさんをギルマスと呼んだのかを説明させられると、ノエルさんも嘆息した後に「分かりました」と了承した。
「確かにギルドマスターと呼ぶのが長ったらしいからダリウスさんと呼んでいましたが、ギルマスなら呼びやすいからいいですね」
「だろ? それになんだか格好良くないか?」
「それは気のせいだと思いますよ」
「……相変わらず旦那以外には塩対応だな」
「なっ……」
ノエルさんはギルマスからの何気ない反論に誰が漏らしたのかとハンスさんを睨み付ける。いきなりノエルさんから睨まれたハンスさんは顔の前で手を振り『俺じゃない』とアピールするがノエルさんはハンスさん以外に誰がいると疑っている。
「あ~ノエル、言っとくがハンスじゃないぞ」
「え? じゃあ、誰が……まさか誰か家の中を覗いているとか……」
「あ~それも違うな」
「じゃあ、誰がって、なんでだ……ギルマスが知っているんですか!」
「じゃあ、一言だけ」
「なんでしょう」
「あまり子供の前でイチャつかない方がいいと思うぞ。俺から言えるのはそれだけだ」
「……」
ギルマスからの返答にノエルさんの顔が急激に赤く染まる。家でイチャついているのは否定しないんだなと俺までニヤけてしまう。
「えっと、ハンスさん。俺の用事は終わったから、帰ってもいいかな?」
「ああ。って、ちょっと待てよ。そこは俺も一緒に帰るに決まっているだろ。何勝手に帰ろうとしているんだよ」
「いや、だってハンスさんはノエルさんに用事があるんじゃないの?」
「へ?」
「だって、ほら」
「あ……」
そこにはまだ顔を赤くしたままのノエルさんが恥ずかしそうに俯いていて揶揄ったギルマスも所在なさげに困っている感じだ。
そんなノエルさんとギルマスに気付いたハンスさんは、俺に申し訳なさそうに「スマン」と言ってノエルさんの元へと近寄る。
ギルマスはハンスさんの登場にホッとしたようで俺に向けて右手でサムズアップしてきたから俺も同じ様にサムズアップを返すとタロと一緒に訓練場から出て館を目指す。
今日は色々あったなと思い返しながら歩いていると館に着いたので門衛に挨拶してから館の玄関を開けると、なんだか重っ苦しい雰囲気に包まれていた。
何か不幸でもあったのかなと思いながら自分に用意された部屋に戻り、買ってきた肌着や何かを整理していると、ドアがバタンと勢いよく開かれる。見ると、そこには姫さんと、その後ろに申し訳なさそうにクリフさんが立っていた。
余りのことに驚いていたが、姫さんを見ると何故か涙ぐんでいて俺を認めると「うわぁ~ん」と叫びながら抱き着いてきた。
俺は突然のことに「え、えっ?」と言いながら戸惑いつつもクリフさんを見るとやはり申し訳なさそうにしている。
「なにがどうしてこうなった?」
『ボク、じゃまかな?』
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