私がこちらの作品を最初に拝読させて頂いた時、非常に残念だと思ったのはタイトルでした(すいません)。何故、これをここに書く必要があるかと言えば、これだけの重厚で細部に渡り神経を注ぎ、リアルに表現されている物語が、あまりに、あまりに、勿体ないと思えたからです。それだけ、素晴らしい作品です。
勇者と魔王、この言葉を入れるだけでローファンな感覚を持ってしまうのは、異世界ファンタジーを長く読んで来た人間の間では、もはや不文律とさえ言われる単語です。
ですが、第一話から度肝を抜かれる事は間違いないでしょう。
ほんの10分くらい時間を頂き、拝読されて見るとその世界観に驚かれると思います。
まず、即座に私の脳裏に浮かんだのは、「緻密」さです。
ファンタジー小説の評価項目として「世界観の構築」という部分があります。
それは単に「だらだらと設定説明を書く」というものではありません。文字通り「その世界を眺めた時に、情景が浮かぶレベルでの緻密な書き込み」が成されているかです。
それは描写の表現力もありますが、物理的な法則や道徳観、風習や生活様式に至るまで、破綻のない構築をした上で、最小限の説明で如実に理解・想像出来るかどうかです。そしてそれで「わくわく」出来るか。ここまで行ってやっと合格点です。
こちらの物語は、その「世界観の構築」が圧倒的です。もう一度書きます、圧倒的です。この理由は後半部になればなるほどわかります。そして思わず読み返したくなるのです。実に巧妙に仕掛けを施しています。これ以上は書けませんけど。
さて物語はタイトルにある通り、親友の勇者が魔王になってしまう事から始まります。そこにどのよう「世界」と「理由」が存在しているのか、謎を解く旅を皆様にもお楽しみ頂ければ幸いかと思います。
お勧め致します。
硬質なハイファンタジーです。歯応えのある作品をお望みの読者様ならば、必ずご満足いただけるかと思います。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
魔王ルドリアを倒したメンバーの一人で大賢者のカイは、ルドリアが魔王になった理由を探るべく旅に出る。彼女に関する新たな事実を発見したのち、カイは大事な仲間で勇者のラングディールが統治する王国へと帰るが、彼を待っていたのは「魔王」となった親友の姿だった_________
なぜ勇者、ラングディールが魔王となったのか。そもそも「勇者」と「魔王」とはいったいなんなのか。
その意味にたどり着いたとき、物語はさらなる深みへと我々を誘う……
この物語はただの勧善懲悪物語ではない。「当たり前」を「当たり前」と片付けないのだ。我々は主人公とともに道筋を辿り、この世界の真実を知る。その時感じるのは驚嘆、感動、そして深い満足感だ。
真夜中の一気読みは不可避!「当たり前」が好きなあなたに、そして「当たり前」に飽きたあなたにも、ぜひおすすめしたい作品です!
主人公のカイには、前世らしき記憶がある。令和時代の日本の記憶だ。
そして彼は、魔法の才能と現代知識を使って“賢者”と称される程の名声を得るのだが……。
と、ここまでならそこいらにある、ありがちな物語。
【だけど本作はかなり様相が違う】
話としては、カイが世界を知る為の冒険譚ではあるが、そこにはいくつものトラップが仕掛けられている。ダンジョンの罠の事ではない。作者が読者に仕掛けるトラップだ。
読み進めていくと大抵の人は「ああ、これってこういう世界か」と、うっすら気付き始めると思う。
そしてその予想が当たり「やっぱりね!」と思った瞬間……想像をしていない方向から怒涛の情報量で思いっきりぶん殴られてしまう。
何を言っているかわからないと思うけど、読めばきっとこうなるはず。
一気読みに是非。おすすめです!
このレビューが目に入ったら、もう続きを読まずにさっさと本編を読んでほしい。こんな所でわざわざ解説しなくても、面白さは本編に詰まっているから。
現代日本で50年間生きてきた記憶を持つ主人公が、「勇者」と「魔王」がいる世界を旅する物語…だが、読み進めていけばすぐにそれだけの物語ではないと分かる。
私たちが普段「ああ、そういうジャンルね」と呑み込んでしまうありとあらゆるお約束にこの主人公は切り込み、そしてその裏に隠された真実を見つけ出していくのだ。
前世仕込みの冷静なロジカルシンキングと、懐に入れた相手のためなら世界すらひっくり返せる熱さを兼ね備えた主人公の旅を、気付けば手に汗握って応援したくなる。
「前世の知識を活かして…」のテンプレ導入を愛する人にも、そういうのに飽いた人にもとにかく読んでほしい大傑作でした。