第 話 スアム・デイ ~魔術師と魔導師~

昔に魔法が武器であった時代があった。


人々が魔法といわれる力を知りやがてそれを扱う様になった。


最初は選ばれた者たちだけが火や水、又は大地をも震わすその魔法と呼ばれる力を扱い、自分たちの住む村や自然を守る為にその魔法を使っていた。


魔法とは、本来そう扱うものだと皆が思っていた。


魔法とは、神秘のものであるのだから...


誰もがそう信じていた。


しかし次第にその力が使えると知ると、その魔法で力比べをしたり、又は権力を見せつける為の道具として扱い、少しでも優位に立つ為の最良の武器として扱うようになっていく。


そして...


"まるで人々はその使い方を待っていたように..."


魔法は強力な物を奪う為の最良の道具として広まり始めた。


権力者たちは魔法で領土を拡大させ、欲望に駆られた者たちはそれで魔法で可能な限り奪って去って行った。


狂気の中で人々は息をし、多くの命が脆いものとして扱われ殺されていた時代。


それがデル・スアム・デイ長く続いた日


...のちにその時代を生きた学者バークル・ヘドゥカ・オストが魔法が武器であった時代の事をそう呼んだのだ。


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魔法を操る者が、新たな時代を呼び。


魔法に憧れた世代が、次の魔法を生む。


時が経って魔法に疑問を持つ者が現れ、危険を知る。


そして..


最後に、その危険から可能性を得る為に魔法を探すのだ。


...今から100年以上前の、ある学者の話だ。


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風のしらせが途中で遮られた事に異変を感じたアルルダード側の傭兵の1人がイルモニカ側にまで伸びたアルル・ダード統治下の森シェル・ビーで黒焦げになって死んでいる自国の魔導師を発見すると直ぐさまアルル・ダード政府にまでその事が届く。


その事件の後、アルル・ダード側のシェル・ビーでも同じように焼かれた3人の魔導師が発見されるが、


その4人目の殺害後から2時間ほど後にアルル・ダード側の魔導師を含む傭兵部隊によって、


その犯人に及んだイルモニカ側の魔術師2人をアルル・ダード側の森の奥で拘束する。


(そのイルモニカ側の魔術師2人は、3日後に公開処刑として炎の魔法で焼き殺されている)


イルモニカとアルル・ダードの国境にある森


"シェル・ビー" は、非常に複雑な地形をしている。


シェル・ビーの森の北側はイルモニカ側の方にあり、南側はアルルダード側に伸びている、


その事で前々からその領土を巡って度々揉めていた。


イルモニカ政府は、元々小さい森であったが小鳥や妖精が住み着くようになってからその範囲を南にまで拡大させたと主張するも、


アルル・ダード政府側は、例えそうだったとしてもその範囲は圧倒的にアルルダード側の方へと拡大してしまったのだから今更どうのこうの出来るものでは無いとして、


その面積が圧倒的にアルル・ダードの方にあると示して、その統治する権利はアルル・ダード側にあると主張する。


そんな前々から平行線を辿っていて、お互いにそれ以上は踏み込もうとしない状況が続いた


そんな矢先に起こった事件でもあった。


アルル・ダード政府は、


この野蛮な出来事を強く避難しイルモニカ政府を問い詰め、謝罪だけでは済むものではないと声明を発表するも、イルモニカ政府はこの事件の引き金は、元々は、アルル・ダード側の行為が招いた事件だと主張、


これにはアルル・ダード政府は、今後の事を考えて謝罪を含むそれに値するだけのものを提示するようイルモニカ政府に強く求めた。


しかし、


イルモニカ政府の出した答えは、その挑発的姿勢にはこちらもそれ相応の構えがあることを示唆すると、


もはやこの2つの大国を止める術は無いところにまで来てしまった..。


それを怖れた市民は、一目散にその対象になる場所から少しでも離れようと国の境界線に殺到。


その人々の作った群れは、この土地に住む者全てに恐怖を植えつけ混乱に陥ると、


圧死などの事故で死者が出るところまで来てしまう。


そして


エレス世紀2597年


4月23日、イルモニカ政府側の宣戦布告が夜に言い渡されると、翌日の早朝、アルル・ダード国境沿いとイルモニカ国境沿いには既に多くの傭兵部隊(魔導師、または魔術師、召喚師と魔法にかかわる者たちが..)が今か今かとその瞬間を待ちわびていた。


その時だった。


国境沿いとは別の方向からアルル・ダード側の魔導師(当時のハイクラスに匹敵する..)10人ほどの者たちが発動させた巨大な炎の塊がイルモニカ国境沿いの森シェル・ビーに放り込まれる。


するとその余りの巨大な炎が森の一帯を包むと大きな火の海が生まれたのだ..


その中で生きる者たちの鳴き声を飲み込みながら...


火の海が生まれるとそこに住む全て者の命が容赦なく飲み込まれていったのだ..


それを見たそこに集まった全ての者が敵味方関係なく言葉を失うと、誰かが気づいたように声を上げた。


「放ってー!!」


その声の持ち主は、イルモニカ側の魔術師だった。

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