第17話 忘れ去られた記憶 part9

 イザベラは改めて魂が抜けたように地面に膝を突いて固まるレイモンドを無表情で見下ろす。


「レイモンド様、もう一度言います。貴方の愛する息子を殺したのは私です。フィリップ様ではありません。あの方不器用でしたがとても心の優しい方でした。一介の奴隷だった私にも躊躇なく手を差し伸べて下さいました。それなのに、、、あなたは、、

あの人を殺した!貴方は罪のないあの方を殺した。

だから、死で罪を償え!」

 イザベラは止どめを刺そうとした、

その時、手が止まる。

拘束したはずのレティシアが立ち塞がったのだ。

イザベラは驚く、邪魔されて、もしくは逃げられたら困るからと思い、彼女を縛る氷はしっかりと魔力を注ぎ込んだのだ。不可能ではないが今のイザベラより強い魔力持ち以外解けないはずだった。


「ど、どうやって解いた。」


レティシアは彼女の問いを答えなかった。


実際レティシアも分からなかった。

どうにかして伯父の元へ行きたくて、無我夢中で

気付いたら、自分を縛り付けていた枷が溶け出したのだ。いわゆるラッキーである。


「そんな事は今どうでもいいでしょう!

 今すぐ伯父様を解放しなさい!」


「嫌だと言ったら?」


レティシアは落ちていた血だらけの剣を拾い

自分の首に突き立てた。


「この場で自害します。生贄である

 私が死んだらフィリップ様生き返らせる

 事はできないのでしょう?」


イザベラはレティシアを鋭く睨みつけた。


「つくづく肝に障る女ですね」


「貴方にだけは言われたくありませんわ!

 さあ、伯父様を解放なさい!」


「そしたら来るんですよね?」


「ええ、その後私に何をしても良いですわよ」


「その言葉後悔しますよ」

イザベラは脅す

レティシアはそれ無視し、父の方を見る


「お父様、伯父様を任せましたわよ」

と言い笑って見せた。


イザベラはレティシアに触れ、2人は姿を消した。



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