第6話 始まりは憎悪から 前編
入学してから数日が経った。
相変わらず、ステュアード家を利用しょうと企む者、
好意があって近づく者でレティシアの周りが騒がしい
それらを愛想良く受け流すのに精神的に疲れる、、
やっと一人になると、
疲れから口から小さな欠伸が漏れる
「レティシア様、気が抜けてますよ」
相手に視線を向け
「レイラ、誰も見てはいないからいいのよ」
「い、いえ、ちゃんと周りを見てから言ってください」
と困った顔で彼女が言う。
言われた通りに見渡す、息を呑んだ
一、二と何人かとバッチリ目が合った。
「見たか!?レティシア様が欠伸したぞ!?」
「う、美しい」
「お疲れなのかしら?」
一気に血の気が引いた、
(み、見られた!は、恥ずかしい!!)
助けてと言う目でレイラに縋る
「そろそろ自覚してください」
と溜息混じりに言われるのだった。
「どうしょう、、明日行けないわ」
「大丈夫ですよ、それくらいでレティシア様の株は落ちません、残念ながら寧ろ逆です」
「どういう事?」
「なんでもありません。」
「あら、そう?レイラが言うなら大丈夫な気がしてきた。それで今日も一緒にお昼食べない?」
「エ、エリザベス様もご一緒なのですか?」
「うん、残念ながら姉思いの妹だからね、、、
そろそろ、姉離れしてほしいのでだけれど、、」
「そうですよね、、、
わかりました、ご一緒させて下さい」
私は異変に気付いた
「あれ?レイラ、風邪でも引いているの?顔周りと耳が赤いわよ」
「えっ!だ、大丈夫です」
と言い、顔を隠すようにそっぽを向かれた。
「そう?それならいいわ」
(うーん、気のせいじゃないと思うのだけど、、
まあ、いいわ。)
思えば、レイラとの出会いは7才の時だった。
ある日、レティシアは妹に屋敷の少し離れた、森へやってきた。
屋敷の者に内緒でよくそこで遊んでいる。いつものように鬼ごっこをする事になり、レティシアが鬼、100を数えている内に近くで悲鳴が聞こえた。
レティシアは妹が心配になり、最近覚えたばかりの能力を使った、そこへ着くと、その場で固まった、
見知らぬ女の子が泣いていて、すぐそばに血だらけの妹が倒れていたからだ。妹のところへ駆け込み、名を呼んだが返答が無い。
手が妹の血で染まっていく。
頭が真っ白になりながら、妹を抱き抱え、目を瞑り集中する。
すると、景色が変わり、屋敷前へと辿り着いた。
近くの使用人が気付き、姉妹に駆け込む。
レティシアはそれを見て、意識を手放したのだった。
目が覚めると見慣れた部屋にいた。
「レティシア!良かった、良かった
どこも痛むところはないか?」
と心配そうに父が伺う、隣に号泣する母がいた。
「エ、エリー、エリーは?」
と目覚めて誰よりも先に浮かん
だ妹を探す。
「ああ、心配いらない。エリーも無事だよ。
エリーも先ほど目覚めて、今安静にしている。
だから、今はもう少し休みなさい。」
「で、でも。エリーが心配なの、、会わせて」
立ち上がろとしたが、身体が動かなかった、、、
「レティ、今は動いちゃ駄目よ!
魔力を一気に使い過ぎたせいで、
体への負担が大きすぎて、
死にかけたんだからね。すごく心配したんだから」と母が泣きながら言う。
「ごめんなさい」と素直謝った。
「お前達が無事で何よりだ。レティが
瞬間移動を使わなかったら、エリーは
助からなかった、妹を守ってくれてありがとう
怖かっただろうによく頑張ったな。」
と父が言うと私の頭を優しくなでてくれた。
優しい手に包まれ、
安心して再び眠りにつくのだった。
目覚めてから一週間が経った頃
妹が助けた女の子はご両親と一緒に屋敷へと訪れた。
レティシアは回復したが、エリザベスは深い傷を負ったため、今もベッドで安静中である。
話を聞くと女の子は男爵の三女の娘らしい。
森の中にいて、たまたまそこに現れた狼に襲われそうになったところでエリザベスが助け、そして襲われた
でも、不思議だった。レティシアは妹と何度もそこへ日が暮れるまで遊んだが狼なんていなかった。
そして、妹を襲った狼を探したが何処にも見つからなかった。
だから、嘘を疑ったが、彼女と妹の証言が一致してたのだ。だが、彼女がなぜそこに居たのかは、
いくら問いかけても何も言わなかった。
ただ、ひたすら、ごめんなさい、ごめんなさい、と頭を下げて何度も謝るだけだった。
そんな彼女をレティシアは殺気を込めてただただ睨みつけていた。普段の彼女はあんまり表情をおもてにださない。
だからこそ、あからさまに敵意剥き出しにする彼女を見て、母は落ち着かせるかのように黙って優しく頭を撫でるのだった。
エリザベスの怪我が大分回復した頃、二人揃って
父と母に呼ばれた。
「どうして呼ばれたかわかってるな?」
と父が姉妹に尋ねる。
二人は無言で頷く。
「まず、あの森に行くのを言い出したのは誰だ?」
「私です!!」「あたしです!!」同時に言う。
「いいえ!お父様、私です!」レティシャは言うと
エリザベスも負けじと
「いいえ!お父様、お姉様は嘘ついてます!あたし
が誘いました。なので、あたしだけを叱ってください。」
と延々とお互いを庇い合う娘達
「わかった、わかった。二人とも3週間の謹慎処分とする、そして、異議を認めない。その期間、二人ともお互いに会うのも禁止とする。」
「お父様、お忘れですか?お姉様と同室ですよ」
と勝ち誇った妹が言うと
「知ってる。だから、エリザベスはしばらく
別の部屋で過ごしてもらう。」
「お父様、酷いです!理不尽!お父様なんて大っ嫌いよ!お父様の馬鹿!」
「エリー、もう2週間増やしてもいいんだぞ??」
と怒った父が脅す
「むっ、、ご、ごめんなさい」
と嫌々ながら謝る妹をみて、レティシアは苦笑した
「そして、もう一つ、レティシア
瞬間移動のこと誰から教わったんだ」
「エリーです」
と言うと両親が驚く
「エリーが?本当か?」
と両親が妹を見る
「何のはなし?」
「えっ」
「お姉様、人違いしてるんじゃない?
さっきからお父様となんの話をしてるのか
分かんない」
「そんなはずないわ。この前、教えてくれたじゃない?」
「夢でも見たんじゃない?」
「そ、そんなはずないわ」
「レティ、誰が教えたか言えない理由でもあるのか?」
レティシアは妹の方を見る、目が合った。
(エリー、どういうつもり!?)
(し、知らないもん)
(エリー、まるで私が嘘ついたみたいじゃない!?)
( • • • • • • •)
(覚えときなさいよ)と思いっきり妹を睨みつける。
「こら、エリーと見つめ合いないで答えなさい」
「お父様、ごめんなさい。
実は勝手にお父様の書斎に入って、
魔法の本を見ました。」
「レティ、お前は人の書斎に勝手に入り、
挙げ句の果て、嘘をつく為に、妹まで利用しょうとした。よって、お前は2週間追加だ。以上」
「そ、そんなぁ、、、。」
レティシアは深いため息を漏らすし、
嘘をつく原因となった妹を睨むしかできなかった。
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