「アレンとリオンの誕生秘話」その六

あれからどれ程の時間が過ぎたのか。

私はずっと、完全なるリオンの誕生を待ちわびていた。


ロイの腕いた赤ちゃんは、ずっと眠ったままだった。


ロイ「アレフ様。

もう少ししたら、リオンが目覚めるよ。」


アレフ「なぜ、わかるんだい?」


ロイ「だってあの源から僕のリオンの中にやってくるのがわかるんだ。」


ロイにはわかるようだった。

同じ父より誕生したロイとリオン。

二人は特別な繋がりを持っていたに違いない。。


ロイ「僕ね、リオンの事が凄くわかるんだ。 リオンも僕に会いたいって。

ここにいるリオンの気持ちも薄っすらだけどわかるよ。

自分が生まれるって。でも、少し恐いみたい。

だから、僕が守ってあげるんだ。


僕のリオンだから!」


アレフ「そうか、ならば、僕もロイのリオンを守るのを手伝ってもいいかい?」


ロイは、ニコニコとし

「うん! でも独り占めしちゃ、駄目だよ!僕のリオンだからね!」


アレフ「おや、リオンはロイだけのリオンかな?」


ロイ「そうだよ! 僕のリオンだからね! ずっと、僕のリオン!」


その時の彼の気持ちは大人になり、

魔王となった彼の土台となっていくのだった。。。


そうして、源から、小さな女の子のリオンの意識が赤ちゃんのリオンの内側へと入った。


すると暫くして目を覚ます。。

すると、ギャンギャン泣き始めた。

びっくりしたロイと私は、あやしてやると直に泣き止み


ロイの顔をじっと見つめているようだった。。。


優しくロイが赤ちゃんのリオンの頬をを撫でてやるとニコニコと笑い

ロイの指を握るのだった。


ロイ「リオン、リオン!」


これが、完全なるリオンの誕生となった。


ロイと私だけが知る

秘密の誕生だったのだ。


父「アレフよ。 これからどんな事があろうとも、娘を守ってやってほしい。よろしくお願いする。」


アレフ「勿論です!」


私は、アレンとリオン。

二人の誕生に胸が弾んで仕方なかった。。。


そうして、暫くの間ロイとリオンは共に過ごし、やがて別れの時がやってくる。

ロイが赤ちゃんのリオンを手放すなんてできるはずも無く。。。


泣いて泣いて、、

「返して!! 僕のリオン返して!」

泣き叫んでいた彼の痛みが今でも私の記憶にある。。


リオンは身を隠された。

それが異世界だった。

そこで伊邪那岐命様の継承者となったのである。


ロイは、悲しくて仕方ない。

そんな彼に父である神は、


「息子よ、リオンとは離れていてもお互いに繋がり、共にいる事が出来るようにいたそう。」


そう言うと二人は特別な繋がりをより深め、互いを感じあい、姿をも見えるようになされたのだった。。。


リオンの誕生は、それ程までに極秘な事だったのだ。。。

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