真夏と晴天、されど憂鬱
「あと少しで夏休みだぁ」
廊下ですれ違う人たちはみんな口を揃えてそうつぶやいている。衣替え期間に入り、真新しい制服を着崩しはしゃいでいる生徒たち。スカートそんなに折って寒くないのか、男子は何でズボンをヒザ下辺りまでまくりあげるのか、なんてことを考えながら彼らを横目に通り過ぎ、いつも通り私は廊下の突き当りのドアを開けた。
冷たい空気を蒸気が溢れてくるみたいにいっぱい浴びたあと、眼の前に散らかった机をかき分け、冷や汗を垂れ流している先生がいた。
「佐東先生、おはようございます」
「お、救世主現る」
にまりと口角を上げた先生の奥にある勉強机に荷物を置き、席に座ってパソコンを開く。
「むしかーい」
後頭部をガシガシと書きながら、先生はやはりあっけらかんとしていた。祖母の家で飼っている三毛猫を思い出した。
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