借り物競走の“未来予知”という題材が面白かったです。
お題が漏れているのかと思わせておいて、実際は「見れば判別できるお題への偏り」「人の配置の記憶」「放送委員の視線誘導」が絡んでいた、という解き方がとても気持ちよかったです。
体育祭の一競技を、ここまで情報戦として見せられるのが楽しく、十北学園らしい自由さと騒がしさもよく出ていました。
菜乃香さんの観察力はもちろん、涼さんが最後の違和感に気づく流れも良かったです。二人で謎を解いている感じが強くなってきましたね。
最後の「人を借りる競技なのに、最後には、“誰と走ったか”だけが残る」という言葉も余韻があって素敵でした。
ゴールデンウィーク明けの少し気だるい学園の空気から、中央ホールの止まった時計の謎へ入っていく流れがとても自然で面白かったです。
三十分進んだ時計という小さな違和感に対して、陽葉子さんの推理と菜乃香さんの推理がぶつかる構成が楽しく、ただ謎を解くだけではなく「探偵勝負」になっているのが新鮮でした。
菜乃香さんが相手の推理をきちんと認めたうえで、足りない部分を静かに示していくところも素敵です。
そして陽葉子さん、登場から一気に場をかき回してくれる良いライバルキャラですね。雛さんとのコンビも可愛らしく、今後の関係が楽しみになりました。
新しい謎、新しいライバル、新しい友達。学園ものとしてもますます賑やかになってきて、とても楽しかったです。
久月邸でお茶をしながら謎を解く、という雰囲気がとても素敵でした。
花のメモという小さな謎から、誰かの優しさや気遣いを読み解いていく流れが、日常ミステリらしくて温かかったです。
現場に行かず、座布団の上で静かに推理する菜乃香さんの姿もよく似合っていて、まさに安楽椅子探偵という感じでした。
そして今回は謎解き以上に、涼さんとの距離がぐっと近づいたのが印象的でした。「菜乃香さん」と名前で呼ぶ場面がとても可愛らしく、二人の関係が少しずつ変わっていくのを見守りたくなります。
最後の「もっとお話ししてみたかったからです!」も菜乃香さんらしくて、読んでいてほっこりしました。
第弐回 消えた桜の樹の事 並に久月さんと親しくなろうとした事への応援コメント
夜にだけ現れて、朝には消えた桜の樹という謎がとても綺麗でした。
北海道の桜の時期を使った違和感から、園芸部、用務員さん、演劇部へと少しずつ手がかりを追っていく流れが楽しく、最後に大道具だったと分かる着地も日常ミステリらしくて気持ちよかったです。
久月さんの観察力もさすがですが、彼女ともっと親しくなりたい涼さんの内心が面白く、謎解きと二人の距離感の変化が同時に進んでいるのが良かったです。
最後の「待ってますえ、涼さん」は反則ですね。涼さんが後手後手になるのも納得です。
第壱回 部活勧誘合戦の事 並に料理研究部激辛カレースパイスの事への応援コメント
料理研究部の激辛カレー騒動に大笑いしました。
ただの学園コメディかと思ったら、久月さんが観察力だけでトリックを見抜く展開が気持ちよかったです。
最後のクッキーのオチも温かく、久月さんと涼さんのコンビが今後どう活躍するのか楽しみになりました。
第弐回 消えた桜の樹の事 並に久月さんと親しくなろうとした事への応援コメント
振袖にブランケットという、学校では浮きまくる「こけし少女」菜乃香の強烈なビジュアルが面白いです。
激辛カレーの指のすり替えや、北海道の桜の時期を逆手に取った「大道具」の仕掛けなど、日常の中にある違和感を理詰めで回収していく展開がスッキリしていて楽しめました。
守る側の涼が、肝心の推理で菜乃香にことごとく先を越され、最後には「はんなり」とした言葉で翻弄されてしまう、あの力関係の逆転具合もコミカルで良かったです。
作者からの返信
リリフィラさま
お読みいただき、ありがとうございます!
菜乃香の振袖姿は、学園の中だとどう考えても浮いているのですが、その異様さも含めて楽しんでいただけて嬉しいです。
激辛カレーや桜の樹の謎は、「大事件ではないけれど、言われてみれば確かに不思議だった」という日常の違和感を目指して考えたので、スッキリしていただけたなら何よりです。
そして何だかんだで、涼は毎回菜乃香に振り回されていますね……。
本人は護衛役のつもりなのですが、気づけば推理でも会話でも先を行かれてしまっています。
感想ありがとうございました!
今後も十北学園の日常の謎を楽しんでいただければ幸いです。
第六回 消えた優勝旗の事 並に菜乃香さんが玉子焼きを食べ損ねた事への応援コメント
優勝旗紛失事件、体育祭前のドタバタ感が十北学園らしくて楽しかったです。
毎回きちんと日常の謎でありながら、読者にも手がかりが提示されていて、ミステリとしてフェアなのがとても好きです。
今回は演劇部、映画部、手芸部と順に辿っていき、映画部の赤い布と手芸部の大量の布の中に優勝旗が紛れていた、という真相が綺麗でした。まさに「赤い布を隠すなら赤い布の中」ですね。
菜乃香さんが映画部の部室や田畑委員長の一言から推理を組み立てていく流れも鮮やかでした。
一方で、玉子焼きを食べ損ねてしょんぼりする菜乃香さんが可愛くて、事件の緊張感との落差に笑ってしまいました。
体育祭本番に向けて、島津くんの作戦も含め、まだまだ一波乱ありそうで楽しみです。