死神
探偵はほとんどいつも喪服を着ていた。探偵は被害者の葬式に参列しないと事件を解決できない……つまりは参列しさえすれば解決できる……ため、いつでも葬式に出られるようにしていた。そのせいか探偵はつねにしめやかな雰囲気をまとっており、声も静かで語尾が消えがちだった。全身からお香の匂いを漂わせ、香典代のために内職をかけもちし、香典返しの菓子や食器や洗剤で生活していた。探偵は「死神」とあだ名されて一部からは忌み嫌われていたが、葬式に出さえすればとても優秀だった。
その探偵はいま、私の葬式に参列している。ずっと大ファンだった探偵の活躍をこんな形で見ることができるなんて、人生でいちばん幸せだ。
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