第10話 早く食べるに限る
『国上様、今回はご尽力頂きまして誠にありがとうございました。主サマも『おネこ様』がお戻りになられて大変お喜びになっておられます』
「はぁ……。あ、一つ質問が『魚の子』って何?」
担当者からの電話を聞きつつ、フライパンを傾ける。俺は自宅のキッチンで、夕食を作っている真っ最中だ。担当者は相変わらず無機質な声ではあるが、機嫌が良いことが分かる。俺も大金を手に入れることが出来て、大変機嫌が良い。
ふと、桟橋での会話を思い出し、訊ねる。
『ああ、あれらは『魚の子』と呼ばれ、内蔵が特別美味しい一族です。主サマの大好物ですよ。美味しい『食材』を確保するのも我々の務めですから』
「そう」
通話を切り、スマホをテーブルの上に置く。ペットは飼い主に似るとはいうが、食の好みまで似るものだろうか。件の『異なる者』が逃げ出し、偏食に走った原因に思い至り直ぐに止めた。
理解不能で理不尽なのが『異なる者』だからである。
『あ、真尋。ごはんですか?』
「いただきます」
ショウメイを無視し、箸を手に取った。
「ん、うまぃ……」
横取りされたくなければ、早く食べるに限る。
楽園の雑用係 星雷はやと@書籍化作業中 @hosirai-hayato
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