かりんとう!

鮎崎浪人

第一話

 一


 ステージの中央に少女がひとり。

 涼しげな空色とそれよりは少し濃い青を基調とした制服風の衣装で、真っ白な襟は鮮やかな赤で縁どられている。

 少女は満面の笑みを受かべて会場を見渡し、天井を突き抜けて青空まで真っ直ぐに伸びるような元気いっぱいの大きな声で呼びかけた。

「それでは、みなさ~ん! いつものアレ、やります! 一緒にお願いしますっ! せ~の・・・」

 両足をぴたりと揃えて直立した少女は、勢いよく頭の上までぴんと両手を伸ばし、その両手で大きく緩やかな円を作ると、全身をやや右斜めに傾けて叫んだ。

「かりんとう!!!」              

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