第45話
「ぐふぅ」
「わあっ」
また立て続け。
あいつはやりたい放題のようだ。
怒りがわいてくる。
せっかく生き残ったのにまたデスゲームに参加させられていることも、今命がけで逃げていることも、今何人もの人の命が奪われていることも、全てが腹立たしい。
その元凶はあの幼女なのだ。
「ぐわっ」
何回も断末魔が聞こえてきて、何回となく倒れている人を見た。
でも止まらない。
――もういい加減にしろ。
とうやが心の中でそう叫んだとき、声が聞こえた。
「はーい、今回のゲームは終わり」
頭の中に響く声が、いつもよりもずっと大きかった。
集団の動きが止まる。
「今回、頑張って三百五十人も集めたの。で、まさるちゃんに殺された人が二十三人、転んで踏まれて死んだ人が十二人。合計三十五人も死んだのよ。すごいでしょう。いっぱい死んで楽しかったわ。みんな、ありがとうね。で、残り三百十五人。次のゲームがあるから、ワクワクしながら待っててね。楽しみ楽しみ」
声は止んだ。
相変わらず数字にこだわる。
が、とうやは気づいた。
あの幼女がこだわっているのは、何人死んだのか、なのだ。
その数字が幼女にとって、重要なのだ。
生き残った三百十五人。
大半は呆けていたが、泣いている者、なにかぶつぶつつぶやいている者、一人の女は天に向かって叫んでいた。
「生きてたな」
川部だ。
「おまえもな」
「三人とも無事でしたか。いいことです」
「自分が無事なのは当然いいことだけど、なんで僕や東雲君が無事なのがいいことなんだ」
「言ったでしょう。僕たちは仲間で、生き残るためには協力しなければならないと」
「そんなこと、言ったっけ」
「言いましたよ」
とうやが言う。
「君の言う通りとしよう。でも今のゲーム、何の協力もできなかったと思うんだが」
「今すぐではないです。その時が来たらですよ」
「どうして今すぐではないんだ。その時とはいつなんだ。答えてくれないか」
「その時が来たら教えます。準備が整ったら。僕はいまいろいろと準備をしていますから」」
「なんの準備だ」
「三人が助かるための準備です」
「それは一体、どういう……」
目の前が真っ白になった。
そして教室に戻る。
とうやは先生の口がパクパク動くのを見た。
お昼休み、当然のように川部が来た。校舎の裏に向かう。
「ホラーゲーム、また始まったな」
「ああ、お前の言う通りだ」
「ところで、あの花園のことだけど」
「あいつか」
「花園の言った意味、わかるか」
とうやは少し考えて言った。
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