狂世の中、謡いし彼らに敬礼を。
性癖の煮凝り
とおい、むかしばなし
むかしむかし、遠い昔。みんなが産まれる前の、とても永いお話。全ては神様の思し召しでありました。
地球を支配していた神様は気まぐれなお方で、植物だけの、変化のない地球に飽き飽きしておりました。毎日水をまき、太陽の足跡をたどり、モクモクの雲に寝転がって日々を過ごしておりましたが、おんなじことの繰り返しでなんともつまらないこと!
そんな神様、ある日いいことを思いつきました。とっても楽しいことです。
神様は、頭を飾るいばらの冠を取りました。その冠には、色とりどりの花が飾られていました。世界中、どこを探しても一つしかない、不思議な力を持つお花を編んで作った冠です。
神様は花びらを一枚手に取り、空から地球へ落としました。その花びらは空を駆け巡る彗星になり、七日間にわたって地球をぐるりと回りました。不思議な力を持つ花びらから作られた、光り輝く彗星は地球にたくさんの生を与えました。
最初に作ったのは、動物でした。あるものには大空を舞う羽根を、あるものには強靭な牙を与えました。産まれ、進化し、時には弱肉強食の中で根絶される様を、神様は眺めておりましたがすぐに飽きてしまいました。
次に作られたのは、人間でした。か弱いですが、いつも不思議な動きをしたり、神様も目を見張るようなことをたくさんしていました。しかし、どうにも弱くすぐに死んでしまいます。
困った神様は、再び花弁を降らせました。次は、地球を鮮やかに覆うオーロラとなり、たくさんの魔力を地球に与えました。
そうして、人間よりずっと強い生き物が生まれました。異形でありながら、人間の強い味方となるであろう彼らを「モンスター」 と呼ぶようになりました。
神様の願い通り、人間はモンスターと手を取り合い、長い繁栄を築いてきました。姿形が変われど、変わらない一人の仲間でした。
――人間同士の、戦争が起こるまでは。
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