(一人読み)打つ食品専門店
店主が接客、オーナーと対話します。
年齢不詳、性別不問。一人称変更可。
敬語であれば軽微な口調変更可。
過度な改変はご遠慮下さい。
上演目安時間10分前後です。
話の内容をよくご確認の上、
上演や録音の判断をお願いします。
2025/04/21
軽微な修正をしました。
---------お話はここから---------
-S区K町四丁目十三番地、地下二階
「こんにちは、打つサプリメント専門店
V&(ブイアンド)へお越し頂きありがとうございます」
「当店のサプリメントは有機栽培の植物と天然素材のみを使用した大変身体に優しいものでございます
注射器を使用し、直接血中に摂取して頂くことで飲むサプリメントより即効性を感じることが出来るかと思います」
「なお、サプリメントは食品でございます
故に効果効能を唱えることは薬事法違反となりますので明言は致しかねます」
「さて、お客様は何をお探しで?
痛み止めを探しにきた…と、
偏頭痛持ちでいらっしゃいますか…それは大変
痛みを和らげるサプリメントもご用意しております、お客様は食品アレルギーをお持ちですか?」
「食品アレルギーは特になし…と
最近の若い方は食品アレルギーをお持ちの方が多いので、とても珍しいですね
当店はアレルギーをお持ちの方にも使って頂けるよう、痛みを和らげるサプリメントは材料を変えて四種類ほど用意しております」
「ところで偏頭痛はどのくらいの頻度で起こりますか?
…気圧の変化の激しい日は常に、ですか
お仕事はデスクワーク、就労時間のほとんどはパソコンの前にいるのですね
システムエンジニアの方は目のみならず
首や肩の疲労も溜まりますし、心配ですね」
「え、私の方が大変そうですか?
お心遣い痛み入ります
ですが、私は好きでこのサプリメントの業界にいますから…何も大変ではありませんよ」
「特定条件下で起こる痛みを和らげるサプリメントでしたら、、、
こちらが良さそうですね
アオツヅラフジを主成分にしたものでございます
こちらは鎮痛剤にも使用されている植物ですので、お客様の偏頭痛をかなり和らげることが出来るかもしません
繰り返しで失礼しますが
当店のサプリメントは食品でございます、
効果効能を唱えることは薬事法違反となりますので明言は致しかねます」
「さて、お客様
当店のサプリメントはお試し頂けますよ
よろしければ…さっそく試してみますか?」
-頷く客
「かしこまりました、ではお試しの準備を…
お客様、今も頭痛で苦しまれておりますね
そうだ、この痛みを和らげるサプリメントよりも…こちらの方が良いかもしれません」
「こちら、痛みそのものをほとんど感じにくくなるサプリメントでございます
使用感は人により変わりますが、多くの方より痛みをほぼ感じないという感想を頂戴しております
まあ、あくまで個人の感想なので…
お試しになられるか否か、お客様次第でございます」
「お試しは無料ですのでご安心を
お客様を悩ませる偏頭痛、無くなると良いですね…では腕を前へ」
「ゆっくりと呼吸をしてください…
ほら、スーっと針が入っていきますでしょう…」
-約三分経過
「お客様、気分はいかがでしょうか?
頭痛を感じなくなった、それは良かったです
お客様はかなりお疲れのご様子…ですので、疲労回復のサポートをするサプリメントもどうぞ
あと、栄養バランスも整えるために他にもいくつか用意致します」
-注射器が並べられる
「まずこちらから…プロポリスを主成分にした疲労回復サポートサプリメントです
少しチクッとしますね……
あぁそうでした、今は痛みをほとんど感じないのですよね失礼致しました…」
「マルチビタミンとマルチミネラル…
この二つは基盤となりますので
二本、失礼致します
眼精疲労も酷そうなので、
アントシアニンと…
あとお肌の状態もあまりよろしくないので
ビタミンCとセラミドも打っておきますね」
「種類は多いですが、ご安心を
サプリメントは食品ですので」
-不安な表情を浮かべる客
「…こんなに注射を打って大丈夫かと?
この細さの針でしたら痕は非常に残りづらいですよ」
「国民健康保険が破綻して病院へ行くのも大変なこの世の中で、針の痕が無い人をお客様は見たことがありますか?
注射器も点滴も一般家庭で使用しているではありませんか
注射器の使い方はスマホで調べればほら、国民健康機構のホームページで見ることが出来ます
痕を残したくないのならホームページをよくご覧になられてからご使用くださいませ」
-客の顔が青ざめる
「本当に痛みを感じなくて怖くなってきた…と
では逆に痛みを感じるようになるサプリメントをどうぞ
(客の質問を聞く)…何故…痛みを感じるようになるサプリメントがあるかと?」
「痛みは自己防衛本能を働かせる大切な感覚です
それが欠落されている方や、
痛みを感じることで働けるご職業の方や
痛みを感じたいお客様に大変好まれております
では、失礼致します…」
-注射を打つ
「あら…白目を剥いてしまいましたね、お客様が望まれたのですよ?
痛みを感じたいと…」
-店主、意識がないことを確認
「困りました、サプリメントは継続して摂って頂かないといけないのに…
たかが8本打っただけでこの有様では、継続利用なんて無理ですね…」
「お客様が健康かつ健全な「肉」であれば、
隣の店舗で買い取って頂けますが…」
「このお客様…打っていない腕に針の痕が多数ありますね
所々に内出血している箇所が…
あー、これはこれは…非合法薬物を使用されているご様子
禁断症状が出てから打つからこういった内出血の痕が残るのです…真っ青…
雑な注射痕、見るに耐えませんね
…非合法薬物漬けの肉は売ることが出来ませんし…どうしましょう?
先ほど打ったサプリメントも水の泡ですし…このままでは当店の赤字に…それは勘弁して頂きたいです…どうしましょう…?」
-長考
「地下十三階のオーナー様に連絡しましょう
大変ご無沙汰しておりますが…お元気でしょうか」
-約三十分後
「オーナー様、本当に助かりました
貴方様が先祖代々この地下商店街を経営されていて良かったです
当店はたまにしかお力になれず、申し訳御座いません」
「今もこの町の地下には見世物小屋があるなんて誰かが作った小説のようですね
見世物小屋は常に人間が必要ですし…オーナー様には大変ご贔屓して頂いておりますので私ももっとご助力したいのですが、、
当店のような有機栽培植物や天然素材を原料にするお店へ来られる方って健康至上主義でして…
継続利用される顧客様になられるか、
隣の店舗へ「肉」として出荷するかのどちらかが大半なのです
当店としては顧客様が増えて頂いた方が嬉しいのですが…
「肉」として出荷したときのイニシャルコストはかなり膨大でして…」
「おっと…失言が過ぎました
そろそろ私は店頭へ戻ります
ではオーナー様、今後ともご贔屓にしていただけますと幸いでございます」
-完-
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