第13話 花澄とくるみ


 私達は、保健室に着いた。そして、休憩をしている中、くるみちゃんが話しかけてきた。



「ごめんね、くるみちゃん。着いてきてもらって」


「私は平気。それより、私の事何で庇ったの?私、あなたに酷い事言ったんだよ?」


「うーん、体が咄嗟に動いたというかなんというか。まぁ、そんな感じ!」


「……そう。私は、あなたに恨まれてもおかしくないのに、あなたは私を庇ったのね」


「?恨んでないよ?だって、つんつんしているのも、何か理由があったんでしょ?今が素っぽいし」


「……あなたは、察しがいいのね。そうよ。これが私の素の姿よ」



 そう言ったくるみちゃんは、くるみちゃんの昔を話はじめた。



「私の母親は、夜の町の仕事で働いているの。父親は、分からない」


「うん」


「私が小さい頃から、母はある事を言い続けていたの。それは、『私達女の価値を分かるのは男だけ。だから、あなたも男と一緒に居ないと生活できない』って事を小さい頃からずっと言い聞かされて育ってきた」


「うん」


「その事から、私は男子に固執するようになった。でも、高校に入ってから、あなたに出会った。そしたら、あなたがとってもキラキラしていた。私とあなたの違いはなんだろうって、思ったの。きっと、私もあのキラキラした人みたいになれるって思って母に相談をしたの。そしたらーーー」


『あら、そんな人がいるの?あなたはそんな人になれないの。憧れは叶わないから、捨てなさい』


「って言われたの。私は、この言葉を聞いた時、すごく悲しかった。母に否定された事も私はあなたみたいにキラキラできない事も。だから、嫌がらせをしてしまった。届かないなら、そのポジションを奪うしかないって」


「そうだったんだ」


「私馬鹿よね、まさかそんな子供じみた理由で嫌がらせするなんて。今は反省しているわ」


「そうだね……。私は、今が充実してるから、キラキラ輝いて見えるんじゃないかな?それなら、くるみちゃんも楽しい事見つけようよ!そしたら、くるみちゃんも輝けるよ!」


「楽しい事……?私は今まであらゆる事が出来なかったから、できるかどうか不安よ」


「できるかできないかじゃなくて、楽しいか楽しくないかで決めようよ。その方が長続きするよ」


「そうね……。じゃあ、私も楽しい事に挑戦してみるわ。聞いてくれてありがとう、藤堂さん」


「藤堂さんじゃない」


「え?」


「花澄って呼んでよ。私だけくるみちゃんって呼んでいるもん」


「……ふふっ。分かったわ、花澄。これからも、その……よろしくね」


「うんっ!」



 私は、くるみちゃんと仲良くなったきがした。これからは、彼女の態度が軟化されるだろう。彼女の希望に寄り添う人も出てくるかもしれない。



「それにしても、私他の人にも謝らなきゃ。他の人にも酷い態度取っていたから」


「反省してるから、大丈夫だと思うよ」



 そんな話をして、私達は保健室を出た。これからは、くるみちゃんは大丈夫だろう。

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