第9話 運動会の練習


 時間が少し飛んで5月。私達は運動会が近いので、運動会の練習をしていた。


 運動会の練習はきつくはなかった。みんな程よく、息を抜いたりリラックスしながら練習している。


 この空気が好きだった。しかし、賢くん達と話をしていたら、ある人がやってきた。



「藤堂さんって、異性と話すのが好きなんですかぁ?」


「げっ」


「あ、くるみちゃん。世間話をしていただけだよ」


「そうなんだ〜。どんな話をしていたんですかぁ?」


「んー、どんな食べ物が好きかとか?後はこの後の練習大丈夫かなーって、色々話したよ」


「ふぅーん」


 彼女の名前は神崎くるみ。私達に話しかけてきた理由は、快晴くんの事が好きだからだと思う。私が話をしていたのは鈴ちゃん、賢くん、快晴くんだったから、目をつけられたんだと思う。


 くるみちゃんは、快晴くんの事がかなり好きだ。だから、快晴くんから要注意人物扱いされている。


 いや、かなり好きだけでは要注意人物扱いはされない。正確には、かなり好きだから、色々危ない行動をとると言われている。



「藤堂さん、私の快晴さんにあまり気軽に話しかけないでくださいねぇ。私快晴さんの事好きですから、どういう行動に出るか分かりませんよぉ」


「(俺は会うのすら嫌だけどな……)」


「どういう行動に出るか分からないなら、一旦落ち着くのも手だよ。深呼吸するとかさ」


「(花澄、論点はそこじゃない……!)」


「(藤堂さんの話の論点ズレてる……)」


「いや、だから、快晴くんに話しかけないでって事!」


「???別に友達と話すぐらいならいいんじゃないの?逆にくるみちゃんは、友達と話せないの?」


「何なの、こいつ……!」



 なんかみんなが呆れつつ、くるみちゃんは怒っていた。なんでだろう。


「神崎さん?あなた、別のクラスでしょ?連絡事項あるからって、先生が探していたわよ」


「桜ちゃん」


「げっ……。あなたが言っていた事本当なの?」


「こんなくだらない事で嘘つくわけないでしょ」


「はぁ〜。わかったわ。快晴くん、またねー」


「(二度と来ないでほしいけどな……)」


「(二度と来ないでほしいわね……)」


「(二度と来ないといいけどな……)」


「(また話せたらいいなぁ)」


「(藤堂さん以外正常な判断だと思うわ……)」


「いいんちょ、あんがとな。しつこかったから正直助かったぞ」


「私は、たまたま立ち寄っただけよ。それより、藤堂さん達何かしていたの?」


「世間話だよ。特に意味は無いと思うけど」


「なるほど」



 くるみちゃんと話をしていたら桜ちゃん……墨田桜が話に入ってきた。うちのクラスの学級委員だ。


 桜ちゃんは私達と話をしたかったらしく、くるみちゃんがいなくなったけれど、それでも楽しかった。



「……藤堂さんって、大丈夫だと思う?」


「……多分、ダメかも」



 鈴ちゃんと桜ちゃんが何か話をしていたが、聞き取れなかった。

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