あとがき

 というわけで、読了ありがとうございました。作者のかんにょです。

 さて、この小説は大河さんが現在連載中の「いきなりレールガン女子高生」(以下、いレ生)の二次創作小説になります。

 自分がこれまでに書いたいレ生の二次創作といえば「いきなり歴史干渉女子高生」(以下、い歴生)が主に挙げられます。

 ただその一方で、い歴生以外に単発で書いた小説や同人誌に寄稿した小説などが結構溜まってきました。

 そこで、今回それらの単発小説を「いレ生二次創作シリーズ」と銘打ってまとめることにしました。

 本作「八人目のミサキ」はその第一弾となります。第一弾ということで文章量の少ない軽めの小説を選びました。


 では、この小説自体のあとがきになります。

 この小説が生まれた経緯については、いレ生1557話「鈴木美咲」を読めば大体わかると思います。

 あ、1557話まで無理に全部読む必要はありませんよ。1557話だけ読めば十分です。

 読みましたか? 読みましたね。え、読んだけど意味がわからなかった? えーと……。

 つまり「鈴木美咲」というのは、原作者の大河さんがBingChatでいレ生について検索したところ、レールガン女子高生の正体として出てきた謎の名前なのだそうです。

 もちろん、いレ生本編にはそんな設定はまったく存在しません。

 そんなAIのハルネーションによって生み出された単発ネタキャラの鈴木美咲について掘り下げるために書いた二次創作が本作になります。

 で、内容についてですが、一言でいえば「書きながら考えた話」です。

 まあ、そもそもこの小説の誕生経緯からしてノリと勢いによるものなので、オチは特に決めずに見切り発車で書き始めました。まあ最後はレールガン女子高生が何とかしてくれるのでオールオッケーです。

 タイトル通り美咲の名前からの連想で「七人ミサキ」を題材にした洒落怖風ホラーを目指した作品だったのですが、なんか結果的に「六番目の小夜子」の影響が色濃いストーリーになってしまったように思います。

 恩田陸のデビュー作の「六番目の小夜子」はもちろん原作も好きですが、世代的にはやはりNHKドラマ愛の詩枠で放送されたテレビドラマ版が印象深いです。

 いまとなっては伝説の作品となったドラマ版ですが、本放送は二〇〇〇年なので自分はおそらく再放送で見たのではないかと思います(二〇〇三年、二〇〇四年に再放送されているようです)

 特にあの有名な文化祭のクライマックスシーンでの異様な緊迫感は幼少期の僕の強烈な印象として残っていて、いまだに自分の中で津村小夜子の名前は山村貞子、佐伯伽耶子に匹敵するジャパンホラーのビッグネームとして君臨し続けています。

 なんだかすっかり昔観たドラマの思い出話になってしまいました。話を戻します。

 と、このように日本ホラーには様々な「怖い名前」が存在しますが、「ミサキ」の名はそれらよりも遥かに古くから畏れられていた名前として知られています。

 本編でも少し触れていますが、民俗学的には神の先触れを表す「御先」を語源とする説が有力で、なんでも文献への登場は平安時代末期にまで遡るそうです。

 ミサキの名をもつ怪異としてもっとも有名なのは「七人ミサキ」だと思いますが、他にも「山ミサキ」「川ミサキ」「ミサキ風にあたる」などといった言葉で表されるミサキの伝承は日本全国に残っています。海に飛び出した陸地を意味する「岬」も元々は同じ概念だったそうなのです。

 その意味合いは曖昧で多義的で、日本古来の文化的基層に根付いている謎の存在とされているようです。

 というわけで、実はオカルト的にはめちゃくちゃ強い存在かもしれないミサキですが、この小説ではレールガン女子高生によってアッサリ退治されてしまいます。いいのかそれで。

 こういう書きながら考えて書く小説は行き当たりばったりで散漫な内容になりがちですが、一方で作者としては意外と愛着が沸いてしまうことも多いのです。

 この小説も、そんな作品のひとつです。


 以上、あとがきでした。

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いレ生二次創作シリーズ① 八人目のミサキ かんにょ @kannyo0628

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