#72 パーマネントに火がついて

パーマネントに火がついて

みるみるうちにはげ頭

はげた頭に毛が三本

ああ 恥ずかしや 恥ずかしや

パーマネントはやめましょう


贅沢は敵だ と言っていた戦中の俗謡です

母が口ずさんでいるのを聞いて 面白くて覚えています


戦前もおしゃれな女性の間では髪をクルリと巻くのがはやっていて 

でも戦後のような薬液を使ったコールドパーマではなく 

熱で巻き髪にする方法で(キューティクルなんてあるのも知らない)

こて や やっとこの形をした道具を炭をおこした火鉢に突っ込んで

熱くなったのを 濡らした日本手ぬぐいに当てて温度を下げてから

髪をまいて形をつけたそうです 

熱すぎれば火傷したり髪がボロボロになるし ぬるすぎれば形が崩れる

だから 熟練の技だった とか

    こては日本髪を結う人の縮毛矯正にも使われたそうです


戦争時代のはやりは 前髪や髪のすそをクルリと巻くスタイルで

当時 女学校の生徒だった母は三つ編みしかしてなかったそうですが

実際に 町中で国防婦人会のおばさんたちに囲まれて

クルリの部分を 裁ちばさみでちょん切られた人を見た と話していました

髪を巻くか巻かないかが 戦争の結果にどう関係するのか

訳の分からない 狂気が満ちていた時代だったんですね


戦後 私が小学校時代に通っていた美容院は戦前からあったところで

椅子に座って 頭にすっぽり〝おかま〟と言われたでかいヘルメット

みたいなカバーをかぶって 巻いた髪に熱風で形を付けるドライヤーの

横に 椅子の後ろの長い棒から タコの足のように電気コードが沢山下がっていて

そのコードの先端には それぞれ目玉クリップがついている器械?がありました

コードが真っ黒だったこともあって 処刑用の電気椅子のように見えました


それは 髪を巻いたカラーを一つ一つクリップではさんで 

電気を通して熱を出し カールをつける道具だと教わりました 

もっとも 現実にお客さんが使っているのを見た事はありません

ずっと 美容室のすみに置かれていたので

あれを 完全に装着したら メドゥーサみたいになるんではと

一人想像して 冒頭の歌が頭に浮かんだものです


小学校時代 男子は丸坊主か坊ちゃん刈り(カツオくんにおぼっちゃまくん)

長めの丸刈り スポーツ刈りはもう少し後だったと思います

     前にも書きましたが 中学の頃 男子不良の髪型といえば

     ひさしの長いリーゼント(プレスリー)か

     マッシュルームカット(ビートルズ)でした 


女子は概ね 前髪パッツン 後ろ刈り上げのおかっぱ(ワカメちゃん)

この おかっぱ髪のすそにクルクルパーマをかけ 大きなリボンを

頭の横に結んでいたのが 当時の少女スターです(松島トモ子・小鳩クルミ)

まあ 子供に高いパーマをかけさせる家は少なかったですからね


中学になると 内藤ルネや水森亜土 赤塚不二夫の女の子の髪型

前髪を少しおろして後は後ろにながし 思いっきり逆毛をたてて盛り上げて

前髪との境に 小さなリボンをつけるのが全盛でした 

女子はセーラー服の胸ポケットに 逆毛用の櫛を忍ばせ トイレにいっては

逆毛たててました

     私は おしゃれに興味なかったのでやってないです

     長く伸ばしてまとめるのと 短く切ってしまうのと

     どっちが手間がかからないかと考えている派でした

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