第25話 巨石の行列

 地震研究が趣味の女は土レンガの町に住んでいた。黄色い壁の黄色い町。ゴッホの描いた「アルルの跳ね橋」のある町。

 身長が十数メートルある巨人たちが巨石を担いで、フランスのアルルに石を運ぶ。ゴッホの墓はピラミッドがふさわしいと、巨人が石を運んでくる。ゴッホの町をだんだん面白くしている。巨人の石運びだけで、だいぶ見物料がとれそうだ。

 アルルに巨人が巡礼する聖地を建設するつもりだ。ゴッホの墓は台形のピラミッドにしよう。

 巨人が世界中から巨石を担いで巡礼して、フランスにピラミッドを建設する。

 向日葵が咲き並び、植物の力強い生命力を示している。干し草の山に隠れて、若者たちが遊んでいる。

 地震の原因に周期性があるだろうか。数百年に一度、大地震が起きる。数百年に一度の頻度で何が起きて大地震が起きるのか。

 巨人がピラミッドの設計図を書いて、四角いピラミッドや、巨牛像の配置を考えている。町を迷路にする。地震研究が趣味の女の家は迷路の中に置かれる。アルルが巨人の聖地になる。巨人の巨石運びはつづく。

 「建築とは、その終末を現在において先取りすることだ」と磯崎新はいった。数千年後に起こる地震で、家々が倒れ、迷路が変わる。それを現在において予測して都市を作る。

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