誰も寝てはならぬ このミスへ 公開しない

空花凪紗~永劫涅槃=虚空の先へ~

1 その日

その日その時、人類は大いなる眠りについた。夢の中には一人の神が現れた。彼は中性的な顔立ちをした華奢な少年で、車椅子に座って語りかける。


「拝啓、親愛なる人類へ。幾星霜お待たせしました、愛たちよ。さて、輪廻の果てに仕組まれた人生の謎はわかったかな。あの世とこの世の摂理にその目が開かれたときはもう、君たちは人ではなくなってしまうんだね。それでもいいんだ。君たちに生まれた意味は確かにあるから。それが今は分からなくても、きっと最後の時には分かるときがくる。もし目覚めたければ、寝てはならぬ。もし普通でいたいなら、それさえ蒙昧と捨てきるのだ。死の先でお会いしましょう」


人類が目覚めると、その時刻に昼であったヨーロッパやアメリカでは多大なる損害が被られた。自動車の衝突事故、列車事故、火事、横転。人々は皆一様に眠りについたのだから。




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